新橋演舞場 初日 2
海老蔵以外の感想も書きます。
昼の部
千本桜、寿猿が早見藤太というのは珍しいと思ったら、上演記録を見ると、過去に何度もやっていたのですね。知らなかった。滑稽味はあまりありませんでした。
楊貴妃、福助が四姉妹の中で一番美しくなく、どうしても絶世の美女には見えなかった。芝のぶはかわいらしすぎて姉には見えず、どう見ても妹。笑三郎、春猿、猿弥は新三国志や新水滸伝、華果西遊記など中国物をやっているだけあって、中国の役も違和感ない雰囲気でした。
梅玉も中国風のひげもよく似合っていましたし、皇帝という品位や大きさ、敗軍の将の情けなさも感じられてなかなかよかったです。国姓爺合戦を見たときも思ったのですが、意外と中国物に合ってるのかもしれません。
それにしても、海老蔵復帰の勧進帳のあとの昼の部の最後にこの演目を持ってきたのはちょっと間違いではないでしょうか。
寿曽我、五郎が松江、十郎が笑也、工藤が梅玉という珍しい配役。最初の右近、猿弥の立ち回りからのがんどう返しは見ごたえがありましたが、富士山の場面になってからはいまひとつ盛り上がりにかけたまま終わったのが残念でした。全体的に拍手も少なかったです。
江戸の夕映は、團十郎、海老蔵の周囲を固める役者さん達がとてもよかったように感じました。
左團次は徳川の旗本だったことへの誇りとお登勢への愛情をとても味わい深く演じていて、この老人の性格がよく伝わってきました。
萬次郎はせりふがはっきりしていてきっぷのいい雰囲気がよかったです。
壱太郎が可憐でした。
脇役では老船頭新兵衛を演じた新蔵がうまかった。いかにも船を長年操ってきた江戸っ子という感じで、実際にこういう老人がいただろうと思うほどリアリティがありました。ほかの船頭を演じた梅蔵、又之助、猿四郎、門松もいい味を出していました。
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
鳥居前
佐藤忠信実は源九郎狐 右 近
静御前 笑 也
早見藤太 寿 猿
武蔵坊弁慶 猿 弥
源義経 門之助
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶 團十郎
富樫左衛門 海老蔵
亀井六郎 友右衛門
片岡八郎 権十郎
駿河次郎 松 江
常陸坊海尊 市 蔵
源義経 梅 玉
三、楊貴妃(ようきひ)
楊貴妃 福 助
高力士 海老蔵
天真の従兄のちの楊国忠 権十郎
一の姉のちの韓国夫人 笑三郎
二の姉のちの虢国夫人 春 猿
三の姉のちの秦国夫人 芝のぶ
女道士 歌 江
竜武将軍陳元礼 猿 弥
李白 東 蔵
玄宗皇帝 梅 玉
夜の部
一、吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
鶴ヶ岡石段の場
大磯曲輪外の場
工藤祐経 梅 玉
曽我五郎 松 江
曽我十郎 笑 也
朝比奈三郎 男女蔵
秦野四郎 弘太郎
喜瀬川亀鶴 梅 丸
化粧坂少将 春 猿
大磯の虎 笑三郎
八幡三郎 猿 弥
近江小藤太 右 近
二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
小姓弥生後に獅子の精 海老蔵
家老渋井五左衛門 市 蔵
用人関口十太夫 亀 鶴
胡蝶の精 玉太郎
同 吉太朗
局吉野 右之助
老女飛鳥井 家 橘
三、江戸の夕映(えどのゆうばえ)
堂前大吉 團十郎
おりき 福 助
本田小六 海老蔵
お登勢 壱太郎
徳松 男女蔵
黒岩伝内 亀 鶴
網徳娘お蝶 宗之助
吉田逸平太 市 蔵
松平妻おむら 家 橘
おきん 萬次郎
松平掃部 左團次