9/24 大阪松竹座 夜の部

一、猿之助四十八撰の内 華果西遊記(かかさいゆうき)
                 

孫悟空  市川右近
猪八戒  市川猿弥
沙悟浄  市川弘太郎
女王妹芙蓉実は妹蜘蛛の精  市川春猿
西梁国女王実は姉蜘蛛の精  市川笑三郎
玄奘三蔵法師  市川笑也


この演目を観たのは今回で3回目ぐらいです。澤瀉屋らしいチームワークのとれた演目で楽しめました。


右近が非常に活き活きとしていて、跳ねるような活発さでいかにも孫悟空らしい雰囲気でした。きっと本人も楽しんで演じてるんじゃないでしょうか。
笑也の三蔵法師は、中性的な雰囲気と高貴な感じがぴったり。猿弥のユーモラスさも相変わらず楽しかったです。


孫悟空猪八戒沙悟浄が武器をグルグル回したり、投げ合ったりする場面はさすがの手さばきでした。こういう見事な動きを見ると、「新・三国志」を思い出して、再演してほしいなと思ってしまいます。


二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
               

武蔵坊弁慶  市川海老蔵
源義経  中村翫雀
亀井六郎  大谷友右衛門
片岡八郎  市川男女蔵
駿河次郎  坂東亀三郎
常陸海尊  片岡市蔵
富樫左衛門  市川團十郎


海老蔵の弁慶と團十郎の富樫という組み合わせはフランスではやったけれど、国内では初だそうで、観る前は楽しみにしている一方で、不安でもありました。
というのも、海老蔵の弁慶は5年ほど前に新橋演舞場で観たのですが、そのときは若さと力強さは感じましたが、なんだか軽くて、弁慶の重厚な人間性を感じることができず、がっかりした思い出があるからです。今回は、そのときよりは落ち着いて、きっちり演じているように思いましたが、やはりセリフが変なところで伸ばしたり、抑揚が安定していなかったりして残念でした。


富樫は、これまで菊五郎富十郎梅玉勘三郎猿之助吉右衛門などを見ていて、セリフのいい人が多いイメージがあります。團十郎にはそもそもセリフは期待していなかったのですが、やはり物足りなくテンポも悪かったように思います。見た目は立派でよかったのですが、ちょっと元気もないように感じました。そのため、弁慶とのやり取りに緊迫感やスピード感があまり出ていなかったように感じました。ちょっと疲れてるのかなと心配になりました。


最後の花道での海老蔵の六方は非常に力強くてよかったです。



三、幸助餅(こうすけもち)
               

大黒屋幸助  中村翫雀
女房おきみ  市川猿弥
妹お袖  中村壱太郎
三ツ扇屋帳場平兵衛  中村亀鶴
芸者秀ゆう  市川春猿
三ツ扇屋女将お柳  市川笑三郎
世話役安吉  市川男女蔵
叔父五左衛門  市川右之助
関取雷五良吉  市川右近


上方らしい、いい話でした。右近の関取がとても立派でした。