2/5 江戸歌舞伎三百九十年猿若祭二月大歌舞伎@歌舞伎座

二月歌舞伎座は月の前半に行きました。

二月は何と言っても、勘太郎を名乗る七緒八くんと長三郎を名乗る哲之くんの初舞台。
三歳と五歳とは思えないしっかりしていて、かわいらしく、セリフも立派に言えて、見得もしっかりしていました。
勘九郎七之助は終始心配そうに見守っていましたが、その他の出演者はみんなニコニコ嬉しそうで、客席も幸せいっぱいな雰囲気でした。特に中村屋の贔屓というわけではないのですが、涙が出てしまいました。
勘三郎三津五郎がこの場にいてほしかったとみんなが思っていたことと思います。


次に面白かったのが、梅ごよみ。
菊之助勘九郎の粋な辰巳芸者同士の恋の鞘当てが面白い。菊之助のツンとしたところと、勘九郎の情があって意地っ張りなニンの違いがぶつかるところが非常にいい配役だと思いました。
染五郎の女に弱くてたよりない感じがはまり役。脇では歌女之丞がいい味を出していたし、歌六はとにかくすっきりとかっこよく、亀鶴は悪のふてぶてしさが出ていてそれぞれよかったです。
わかりやすい話なので、外国人のお客さんにも受けてました。特に羽織を踏みつけるところとか。
場面的には、序幕の川の場面が見た目的によいですね。あんなに回り舞台の奥まで見せる芝居って他にあまりないんじゃないでしょうか。


昼の部最初の猿若江戸の初櫓は勘九郎の踊りがきもちよく、朝一番にふさわしい演目。
宗之助が若集の筆頭でひとりで踊るところもあり、珍しく目立ったのがうれしかった。


大商蛭子島は久々の上演とあって、初めて見た演目ですが、予想外に面白かった。
二代目松緑の主役で復活狂言として上演されたものだそうで、実は頼朝、実は政子、実は文覚上人というように、実は実はばかり。
最初の寺子屋の場面では、松緑芝のぶ、千寿らの寺子の女の子にセクハラして時蔵が嫉妬するという展開。
本来、二代目松緑や現松緑のニンではないでしょうが、まあ面白かった。
最後は旗揚げでめでたく幕。
中村屋松緑の共演は今後もたくさんやってほしいと思います。


四千両は演舞場で見て以来。菊五郎の醸し出す江戸の雰囲気がさすが。おでんを売るときの、おでんやー、甘いの、辛いのというときのなんとも言えない風情がよかった。
やはり牢内が一番面白く、亀三郎、亀寿、歌六、菊十郎をはじめ、声のいい人が多いので聞いてて楽しかったです。

扇獅子は四千両の暗い雰囲気からうって変わって、梅玉がすっきりした鳶姿で出てくるので気持ちよく打ち出し。


夜の部の絵本太功記は桃太郎で集中しすぎたせいか、寝てしまいました。


昼の部

田中青滋 作
一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

猿若    中村勘九郎
出雲の阿国 中村七之助
若衆    澤村宗之助
若衆    中村児太郎
若衆    中村橋之助
若衆    中村福之助
若衆    中村吉之丞
若衆    中村鶴松
福富屋女房ふく 市村萬次郎
奉行板倉勝重  坂東彌十郎
福富屋万兵衛  中村鴈治郎



初代桜田治助 作
  戸部銀作 補綴
二、大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)
「黒髪」長唄連中

正木幸左衛門実は源頼朝   尾上松緑
地獄谷の清左衛門実は文覚上人/北条時政  中村勘九郎
おます実は政子の前     中村七之助
清滝            中村児太郎
熊谷直実          市村竹松
畠山重忠          大谷廣太郎
佐々木高綱         市川男寅
三浦義澄          中村福之助
下男六助          坂東亀寿
家主弥次兵衛        市川團蔵
女房おふじ実は辰姫     中村時蔵


河竹黙阿弥
三、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より牢内言渡しまで

野州無宿富蔵   尾上菊五郎
女房おさよ    中村時蔵
伊丹屋徳太郎   中村錦之助
浅草無宿才次郎  尾上松緑
寺島無宿長太郎  尾上菊之助
黒川隼人     中村松江
頭        坂東亀三郎
三番役      坂東亀寿
下谷無宿九郎蔵  中村萬太郎
ぐでんの伝次   市村橘太郎
下金屋銀兵衛   片岡松之助
穴の隠居     澤村由次郎
数見役      河原崎権十郎
石出帯刀     坂東秀調
生馬の眼八    市川團蔵
隅の隠居     中村歌六
うどん屋六兵衛  中村東蔵
浜田左内     坂東彦三郎
牢名主松島奥五郎 市川左團次
藤岡藤十郎    中村梅玉


四、扇獅子(おうぎじし)

鳶頭   中村梅玉
芸者   中村雀右衛門




夜の部

萩原雪夫 作
一、門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)
三代目中村勘太郎 二代目中村長三郎 初舞台
劇中にて口上相勤め申し候

兄の桃太郎 初舞台 中村勘太郎
弟の桃太郎 初舞台 中村長三郎
お婆さん      中村時蔵
お爺さん      中村芝翫
息子勘作/鬼の総大将  中村勘九郎
嫁お鶴       中村七之助
犬彦        市川染五郎
猿彦        尾上松緑
雉彦        尾上菊之助
村の女       中村児太郎
村の男       中村橋之助
村の男       中村福之助
鬼         松本錦吾
鬼         片岡亀蔵
村の男       坂東彌十郎
庄屋妻お京     中村雀右衛門
吉備津神社巫女お春 中村魁春
庄屋高砂      中村梅玉
吉備津神社神主音羽 尾上菊五郎


二、絵本太功記(えほんたいこうき)
尼ヶ崎閑居の場

武智光秀  中村芝翫
操     中村魁春
真柴久吉  中村錦之助
佐藤正清  中村橋之助
初菊    片岡孝太郎
武智十次郎 中村鴈治郎
皐月    片岡秀太郎


為永春水 原作
木村錦花 脚色
三、梅ごよみ(うめごよみ)

向島三囲堤上の場より深川仲町裏河岸の場まで
丹次郎   市川染五郎
芸者仇吉  尾上菊之助
芸者米八  中村勘九郎
千葉半次郎 中村萬太郎
許嫁お蝶  中村児太郎
本田近常  中村吉之丞
芸者政次  中村歌女之丞
太鼓持由次郎 片岡松之助
番頭松兵衛  嵐橘三郎
古鳥左文太  中村亀鶴
千葉藤兵衛  中村歌六

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