三遊亭円丈「ろんだいえん」

ろんだいえん―21世紀落語論

ろんだいえん―21世紀落語論


古典の名人三遊亭圓生の弟子でありながら、300本以上の新作を作り続ける三遊亭円丈の落語論。


オビに「これは円丈の遺言である」と書いてありましたが、まさに円丈の新作落語についての考え方がぎっしりつまった渾身の本という感じがします。


全体の構成としては3部に分かれていて、第1部は落語論。円丈は落語家のランクを、「アクター」「アレンジャー」「クリエイター」という分け方で考えるそうです。アクターとは、演ずるだけでオリジナルのギャグのひとつもできない人で、最低ランク。アレンジャーとは、ギャグが作れて噺をアレンジできる人。クリエーターは、噺を作ることができる人で、これがいちばん価値がある人という評価。


落語は大衆芸能であり、「今」の大衆に支持されなければならない。そのためには噺の中に「今」がなければならないということを言っていて、このあたりの考え方は談志と似てるのかもしれません。


第2部は落語台本論。新作落語をどうやって作るか方法論が、きちんと書かれていて、落語家や作家になりたい人にはとても参考になりそうです。


第3部は、落語演技論。円丈がどういうふうに演じているかとか、柳家と三遊亭の違いとか、興味深いことが書かれています。今度、落語を聞くときに注目してみようと思います。