歌舞伎座 夜の部

遅くなったけど、9月21日に観てきた感想を。

まず「逆櫓」を幕見でもう一回観ました。
やっぱり吉右衛門歌六というセリフのうまい役者さんが充実していたおかげで前半が面白く感じました。

ところで、逆櫓を教える場面への場面転換はもう少し早くできないんでしょうか。
近くに座ってた外国人のお客さんがそこで帰ってしまいました。外人のお客さんて途中で帰る人けっこう多いんですよね。後半が見所の芝居だともったいないなと思うんですが。この逆櫓も後半の立ち回りが面白いのに残念。

見終わった後、外で時間をつぶして夜の部へ。

夜の部
一、近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)盛綱陣屋
  
佐々木盛綱(中村吉右衛門
妻早瀬 (坂東玉三郎
高綱妻篝火 (中村福助
信楽太郎(尾上松緑
高綱一子小四郎(中村宜生
盛綱一子小三郎(坂東玉太郎)
竹下孫八(大谷桂三
古郡新左衛門(澤村由次郎
伊吹藤太(中村歌昇
北條時政 (中村歌六
和田兵衛秀盛 (市川左團次
盛綱母微妙  (中村芝翫


戦国武将の真田信幸・幸村兄弟が、大阪冬の陣で豊臣側・徳川側にわかれて戦ったという史実を元に、江戸時代の歌舞伎は史実をそのまま芝居にすることが許されていなかったので、鎌倉時代の佐々木高綱・盛綱兄弟のお話として作られたもの。なので、劇中に出てくる北条時政は本当は徳川家康のこと。

こういうところが、歌舞伎を知らない人に歌舞伎は難しいという印象を与えてしまう一因かもしれません。

歌舞伎によくある、子どもが犠牲になる話で、あまり面白いと思ったことがなく、以前は途中で寝ちゃったりしてたのですが、関連作品である鎌倉三代記を5月に文楽で見たので頭の中で話がつながって興味深く、今回は寝ずに全部見れました。

前半の見所、芝翫はさすがの風格でした。小四郎は実際の孫、橋之助の三男の宜生くん7歳ですが、なかなかの名演技に思いました。

吉右衛門さんは首実検のときの表情の動きもよく、この場には登場しない弟高綱の存在が見えるようでした。


二、干支に因みし戯れ絵の趣親子鷹 鳥羽絵(とばえ)
下男升六(中村富十郎
ねずみ(中村鷹之資)

富十郎79歳・鷹之資9歳の親子によるほのぼのした踊り。
富十郎さん年齢を感じさせず、まだまだ元気ですね。


三、天衣紛上野初花 河内山(こうちやま)
河内山宗俊  (中村吉右衛門
松江出雲守  (市川染五郎
腰元浪路  (中村芝雀
宮崎数馬  (中村錦之助
近習大橋伊織(大谷桂三
同黒沢要  (澤村宗之助
同米村伴吾  (中村種太郎
同堀江新六  (中村吉之助
後家おまき  (中村吉之丞
北村大膳  (澤村由次郎
和泉屋清兵衛  (中村歌六
高木小左衛門  (市川左團次

吉右衛門さんの小悪党の雰囲気がとてもよかった。

染五郎さんは、大名の風格はないけど、わがままな偉い人という雰囲気は感じました。
10年後ぐらいになれば年齢もちょうどよくなって、いい出雲守になりそう。

河内山の最後の決め台詞「ぶぁあっかめぃ!!(馬鹿め)」が気持ちよく、いい気分で観終える事ができました。