渋谷・コクーン歌舞伎第十三弾 天日坊

6月に観て、感想を書かないままになっていました。簡単にメモを書いておきます。


チケットを買っていなかったので、当日券で立ち見で観ました。係りの人に舞台の端が見えない場所がありますと説明を受けましたが、私の観た中二階の左側の位置からはそれほど気になりませんでした。


全体的な感想としては、何で150年も上演されなかったんだろうというぐらい面白かった。もっとも、宮藤官九郎脚本で串田和美演出でテンポよく進んだからそう感じたのであって、国立劇場の復活上演だったら冗長でつまらないものになっていたかもしれません。


マジかよ?とおれは誰だあっ!が重要なセリフとなっているわけですが、最近進境著しい今の勘九郎ならこういうセリフがなかったとしても、コクーン歌舞伎じゃなくて普通の歌舞伎の形式だったとしても、十分に作品のテーマ性を浮き彫りにする演技はできたんじゃないかなと思います。


歌舞伎役者以外の役者さんでは、真那胡さんは個性的すぎてちょっと自分は受け入れにくかったですが、白井晃の演技のうまさはさすがだと思いました。実直で朴訥な久助がうまく、大江広元は詮議の場で歌舞伎役者を相手にしてあまり違和感を感じない存在感を見せていて驚きました。


歌舞伎役者じゃない役者さんが一緒に出てると萬次郎や橘太郎の歌舞伎らしい巧さ、安定感が際立って目立ってた感じがしました。普段歌舞伎を観てると当たり前の演技が当たり前じゃなくて歌舞伎役者ってすごいんだということを改めて感じさせられます。


七之助は相変わらず綺麗でした。獅童はこういう役はぴったりで、見た目もよかったです。亀蔵は怪演が光ってました。



◆演出 串田和美
◆脚本 宮藤官九郎

            
            法策 後に 天日坊実は清水冠者義高  中村勘九郎
                人丸お六実は今井四郎娘かけはし  中村七之助
                猫間光義  市村萬次郎
            お三婆/赤星大八後に赤星典膳  片岡亀蔵
                北條時貞  坂東巳之助
              傾城高窓太夫  坂東新悟
               越前の平蔵実は広元家臣平岡平蔵  近藤公園
            観音院/鳴澤隼人  真那胡 敬二
                  久助実は大江広元  白井晃
                地雷太郎実は竹川伊賀之助正忠  中村獅童

            花園中納言兼貞/山影玄蕃/小姓 坂東橘太郎
            侍吉田三五郎 中村小三郎
            仲居おくに 澤村國久
            仲居おてう 中村蝶紫