6月の新橋演舞場昼の部は千秋楽に観に行きました。
小栗栖の長兵衛は以前右近で一度観たことがあります。
あんまり覚えていなかったのですが、今回のを観て思い出しました。
中車の長兵衛は思ってたよりもとてもよかった。セリフが歌舞伎調ではないけれど、舞台での存在感と演技力はさすがだと思いました。
右近のを観たときは嫌われ者を演じているのに何となく右近の人のよさそうな感じを感じてしまったのですが、中車の長兵衛は親を悩ますどら息子の感じがよく出ていたところがよかったと思います。
周囲も澤瀉屋がしっかり固めて面白かったです。段治郎から改名してから初の歌舞伎復帰の月乃助が颯爽としてかっこ良かったのと、春猿の巫女がわいらしかったのが印象的でした。
口上では、中車の緊張した面持ちと言葉から強い決意が伝わってきました。坂田藤十郎様、片岡秀太郎様という呼び方が、にいさんでもおじさんでもなく、歌舞伎界の外から来た人なんだなあという新鮮な印象を受けました。猿之助は彼らしい理路整然としっかりした口上。團子はかわいらしくてよく通る声。他の人が口上中、ずっとあの姿勢を保つのが大変そうでした。そして最後に出てきた猿翁は体と口上は不自由ながら眼の光は強かったです。
義経千本桜は、観たのは亀治郎の会、明治座に続いて三回目ですが、もともとよかったのがどんどんよくなってきた感じがしました。秀太郎と藤十郎が出たことで舞台に厚みが出て素晴らしかったです。
カーテンコールで猿之助が一人で花道七三あたりまで出てきてくれました。
平成24年6月5日(火)〜29日(金)
昼の部
一、小栗栖の長兵衛(おぐるすのちょうべえ)
長兵衛 市川中車
馬士弥太八 市川右近
妹おいね 市川笑三郎
堀尾茂助 市川月乃助
猟人伝蔵 市川弘太郎
父長九郎 市川寿猿
巫女小鈴 市川春猿
僧法善 市川猿弥
七之助 市川門之助
猿之助改め猿 翁
亀治郎改め猿之助
中 車
初舞台團 子
幹部俳優出演
三、三代猿之助 四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場
市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 市川亀治郎改め猿之助
駿河次郎 市川門之助
亀井六郎 市川右近
飛鳥 坂東竹三郎
川連法眼 市川段四郎
静御前 片岡秀太郎
源義経 坂田藤十郎