3/3 中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露平成中村座 三月大歌舞伎 初日 昼の部

平成中村座の初日に行ってきました。

昼の最初は暫。
小さい小屋なので海老蔵の大きさが際立ち、迫力いっぱいでした。
ちょうど花道七三の裏側の一階竹席でしたので、目の前に海老蔵の背中が来て、舞台の右半分が隠れて猿弥の鯰が見えなくなってしまいました。でも照明に照らされた海老蔵が大きく見えてよい席でした。海老蔵は揚幕から出てくる時も引っ込む時も花道際の席は衣装や刀が当たりそうなくらいで、実際当たってしまったお客さんもいました。
我當が出てるおかげで舞台に大きさが出て引き締まりました。


一条大蔵卿の勘九郎は、意図的にかどうかはわかりませんが、勘三郎に比べて阿呆っぽさは控えめ。個人的にはあざとく阿呆っぽいよりも好みです。初日でしたので今後どう変わっていくか楽しみです。本性を現して登場した場面は颯爽として凛々しく、こちらの方が本人の雰囲気に合っている感じがしました。
鳴瀬役の小山三は元気で素晴らしかった。ただ、これだけセリフも演技も多い役だと体力的に大丈夫かなとちょっと心配になります。千秋楽まで元気に頑張ってほしいです。


ところで、本心を現した後、背中に差している扇子がパタリと下に落ちてしまったのですが、仁左衛門の鬼次郎が拾って返していました。普通なら後見が拾うところでしょうが、仁左衛門があまりにも自然なのでそういう演出なのかと思うほどでした。


舞鶴雪月花は、舞台中央に大きな桜の木があって藤娘のような感じ。桜の精の七之助はとてもきれいでした。七之助が花道を引っ込む間に舞台は月夜に変わって松虫。松虫は千之助と仁左衛門がとてもほほえましかった。最後の勘三郎の雪達磨は溶けていくのを必死になって抵抗している様子に愛嬌があってさすがでした。幕切れに朝日が昇る場面で舞台の後ろを開く演出は非常によかった。



昼の部

一、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
               鎌倉権五郎       市川海老蔵
             那須九郎妹照葉       中村七之助
              鹿島入道震斎       市川猿弥
                 桂の前       上村吉弥
                成田五郎       市川男女蔵
                加茂次郎       片岡進之介
                清原武衡       片岡我當
             義家家来小金丸       中村梅丸
             東金太郎義成        中村山左衛門
             足柄左衛門高宗       坂東功一
             荏原八郎国連        片岡仁三郎
             局常盤木          中村歌女之丞
             家老宝木蔵人貞利      片岡松之助



二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
  檜垣
  奥殿

              一條大蔵長成  中村勘太郎改め勘九郎
                常盤御前       中村扇雀
               八剣勘解由       片岡亀蔵
             鬼次郎女房お京       中村七之助
               吉岡鬼次郎       片岡仁左衛門
             茶亭与市         片岡松之助
             勘解由女房鳴瀬      中村小山三 



三、舞鶴雪月花(ぶかくせつげっか)
  <上の巻> さくら
                 桜の精       中村七之助

  <中の巻> 松 虫
                  松虫       片岡仁左衛門
                   同       片岡千之助

  <下の巻> 雪達磨
                 雪達磨       中村勘三郎