11月歌舞伎公演@国立劇場「日本振袖始」「曽根崎心中」
国立劇場の初日を観てきました。
作者にスポットを当てた国立劇場の45周年企画、今月は近松門左衛門です。
初日とあって、扇千景さんの姿も見ましたし、ロビーにはマスコットキャラの「くろごちゃん」もいました。
「日本振袖始」は、いつも上演される場面の前に、原作から序幕を作ってつけたというもの。
序幕はそんなに面白くはなかったけど、八岐大蛇退治に向かうきっかけがわかるようになっています。
この場面で、振袖始という題名の由来がわかる場面があるのですが、イヤホンガイドを聞いていたからわかったけど、聞いていなかったらわからなかったと思います。
稲田姫には、梅玉の部屋子の梅丸が抜擢されていました。声はきつそうでしたし、女形の動きなんかもまだまだですが、可憐でかわいい感じでした。
松江はおかしみのある役なのだけど、初日のせいか、面白みはいまひとつ。
梅玉はあいかわらず、正義の役が似合う颯爽とした姿。
以前、玉三郎で日本振袖始を観た時は、前半の美しさに対して、後半の正体を現してからが怖さが足りないなと思ったのですが、魁春は後半もよかった。
「曽根崎心中」、藤十郎はそろそろ若い人に譲ったらいいんじゃないかと思うのだけれども、まだまだ元気で若々しいです。
翫雀も何百回もやっている役なので安定感抜群で頼りないけどお初に一途なところがはまり役。
この二人の周囲を固める竹三郎、亀鶴、錦吾がとてもよかった。
亀鶴は徳兵衛を追い込んでいく嫌味な感じがとてもよく、錦吾は大きな店の主人の鷹揚な雰囲気がよかった。竹三郎が特によく、徳兵衛のことを思いやる情のあるセリフに泣かされました。
近松門左衛門=作
戸部銀作=脚色
国立劇場文芸課=補綴
「日本振袖始」(にほんふりそではじめ) 二幕
高根宏浩=美術
国立劇場美術係=美術
序 幕 出雲国簸の川川岸桜狩の場
二幕目 出雲国簸の川川上の場
二世藤間勘祖=振付
野澤松之輔=作曲
素戔嗚尊:中村梅玉
岩長姫実は八岐の大蛇:中村魁春
足摩乳:中村東蔵
侍女くまざさ:中村松江
侍女いたどり:中村歌江
稲田姫:中村梅丸
近松門左衛門=作
宇野信夫=脚色・演出
「曽根崎心中」(そねざきしんじゅう) 一幕三場
長坂元弘=美術
野澤松之輔=作曲
第一場 生玉神社境内の場
第二場 北新地天満屋の場
第三場 曽根崎の森の場
勝見嘉之=振付
天満屋お初:坂田藤十郎
平野屋徳兵衛:中村翫雀
油屋九平次:中村亀鶴
天満屋惣兵衛:松本錦吾
平野屋久右衛門:坂東竹三郎