10/10 御園座 第四十七回 吉例顔見世 昼の部

10日に昼の部を観劇しました。

その日の朝、中村芝翫丈の訃報を知って悲しい気持ちで劇場に向かいましたが、役者さんたちのはつらつとした舞台に接し、観劇自体は楽しく観ることができました。


昼の部


一、南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
                

犬塚信乃  中村種太郎改め歌昇
犬山道節  市川海老蔵
犬田小文吾 大谷廣太郎
犬塚毛野  中村米吉
犬村大角  中村吉之助
犬江親兵衛 中村種之助
犬川荘助  中村松江
犬飼現八  市川染五郎


屋根の上での歌昇の立ち回りが爽やかでした。はしごを使った立ち回りはよくあるけど、梯子をすーっと滑り降りるのはびっくりしました。
廣太郎や米吉、種之助も登場してのだんまりは、だんまり自体の面白さはあまりなかったですが、期待の若手たちが揃っていてすがすがしく、将来が楽しみになりました。
染五郎海老蔵はこの若手の中ではさすがに格が違い、存在感がありました。



二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
  檜垣
  奥殿
              

一條大蔵長成   中村吉右衛門
鬼次郎女房お京  中村芝雀
吉岡鬼次郎    市川染五郎
八剣勘解由    澤村由次郎
勘解由女房鳴瀬  市村家橘
常盤御前     中村魁春


吉右衛門の大蔵卿がさすが。今まで吉右衛門が演じたものも含めて何回かこの演目は観ていますが、阿呆と本性の演じ分け、コミカルさと正体のかっこよさにばかり注目してしまっていました。ところが、今回吉右衛門のを観て、乱世を避けて生きる大蔵卿の心の葛藤や苦しみ、武士としての芯の強さや人間性を感じました。作り阿呆の演技もわざとらしいところが少しもなく、自然で、こういう人が実際いてもおかしくないのではないかと思えました。


三、口上
             

歌 昇改め又五郎
種太郎改め歌 昇
幹部俳優出演


いつも襲名する役者や先代のことを茶化したりして笑いを取る左団次が、又五郎さんは真面目なので今回は面白いことは言えませんといいつつ、別の切り口で笑いを取るところがさすが。


四、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

                

曽我五郎  中村歌昇改め又五郎
曽我十郎  中村梅玉
小林朝比奈 坂東三津五郎
大磯の虎  中村福助
近江小藤太 中村錦之助
八幡三郎  中村種太郎改め歌昇
梶原平三景時 大谷桂三
梶原平次景高 片岡市蔵
化粧坂少将  市川右之助
鬼王新左衛門 中村歌六
工藤祐経   市川團十郎


又五郎歌昇が力強くて立派でした。團十郎が風格がありよかった。福助も立女形の風格で立派に演じていました。