12/12 国立劇場 仮名手本忠臣蔵

国立劇場仮名手本忠臣蔵、三段目、四段目、七段目、十一段目という中途半端な通しなので、どうなのかなーと思って行きましたが、不満もあったけど、結果的には、まあ思ったよりよかったかなーといった感じでした。


まず、幸四郎高師直ですが、すごく憎々しげで悪役らしい感じでした。
先月の河内山の通しでも思ったのですが、この人は実は悪役がすごく
あっているんじゃないかと思いました。


大序がないからなのか、衣装が烏帽子大紋で、着替えをしない「姿見の師直」
の簡易版のような場面があって、なかなかおもしろかったです。


染五郎の判官は上品でよかった。四段目の切腹はやはり泣いてしまいました。
左団次は薬師寺の印象が強いのですが、石堂も思ったよりよかった。
大星に声をかけるところなんかやさしい感じがよく出ていました。


道行では幕切れに亀鶴がトンボを切ったのでびっくりしました。
トンボ切る伴内は記憶にないです。後で知ったのですが、前日までは
やってなくて、この日はじめてやったようで、どうやらラッキーな日に
当たったようです。伴内はこのあと七段目にも出てますが、全体的に
無理におかしくして笑いを取ろうとしないで、自然なおかしみを出していて
良い印象を持ちました。前月の女形といい、いろいろと器用な人だと思います。


五、六段目をやらないかわりに、七段目の前に講釈師がすっぽんから上がってきて
五、六段目のあらすじを語っていましたが、ちょっと中途半端な印象を受けました。


七段目は前半をカットされていて、時間の関係とはいえ、これはよくないと思いました。


11段目は特にいつもと変わりなし。引き上げの場面は気持ちよく、忠臣蔵見たな―と
いういい気分になりました。いろいろ不満なところもあるけど、最後まで通すことで、
外国人や忠臣蔵を初めてみる人にもわかりやすかったと思います。



竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)  五幕
国立劇場美術係=美術


三段目  足利館松の間刃傷の場


四段目  扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
同  表門城明渡しの場


浄瑠璃  道行旅路の花聟−清元連中−


七段目  祗園一力茶屋の場


十一段目 高家表門討入の場
   同 奥庭泉水の場
  同 炭部屋本懐の場
     引揚げの場


高武蔵守師直/大星由良之助(松本幸四郎
顔世御前/お軽(中村福助
小林平八郎(中村錦之助
塩冶判官高定/早野勘平/寺岡平右衛門(市川染五郎
  市川 高麗蔵
  市川 門之助
  市川 男女蔵
  中村 亀 鶴
  澤村 宗之助
  中村 児太郎
  松本 錦 吾
  大谷 桂 三
  澤村 由次郎
  市川 右之助
  坂東 秀 調
  市村 家 橘
  大谷 友右衛門
  坂東 彦三郎
  市川 左團次 ほか