新橋演舞場 夜の部 鬼平犯科帳 狐火、お染の七役
夜の部は、鬼平犯科帳がよくて、お染の七役はだめでした。
福助の土手のお六は、やりすぎというか、うけを狙いすぎというか、声もしぐさもオーバーで、歌舞伎じゃないみたいでした。10年前に日生劇場で染五郎とやったのを見たのですが、そのときはここまでひどくなかったような気がします。
鬼平はよかった。役柄を演じているというよりも鬼平本人のような吉右衛門の雰囲気がすばらしいですね。
兄弟役の錦之助、染五郎の場面は泣いてしまいました。この二人、実年齢は離れてますが、本当の兄弟のように見えて、兄弟愛が感じられました。
最後のシーンの歌六と吉右衛門の会話がまた、人生の酸いも甘いもかみ分けた二人という感じで、軽妙かつ、じーんとくる味があってすごくよかった。おととしの大川の隠居もよかったけど、歌六は欠かせない役者さんですね。
一、鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう) 狐火
長谷川平蔵 中村吉右衛門
密偵おまさ 中村芝雀
狐火伜又太郎 中村錦之助
同弟 文吉 市川染五郎
お久 中村隼人
河合伝内 澤村由次郎
小房の粂八 中村歌昇
瀬戸川の源七 中村歌六
相模の彦十 市川段四郎
二、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) お染の七役
油屋娘お染/丁稚久松/許嫁お光/後家貞昌/奥女中竹川/芸者小糸/土手のお六 中村福助
鬼門の喜兵衛 市川染五郎
女猿曳きお作 市川高麗蔵
油屋多三郎 大谷桂三
召使お勝 中村歌江
船頭長吉 中村錦之助
山家屋清兵衛 中村歌昇
百姓久作 段四郎