2020年1月3日 新橋演舞場 昼の部・夜の部

1月3日に新橋演舞場の初日を観ました。

 

昼の部
一、祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺

雪姫 片岡孝太郎
此下東吉実は筑前守久吉 市川右團次
十河軍平実は佐藤正清 市川九團次
松永鬼藤太 澤村國矢
慶寿院尼 市川齊入
狩野之介直信 大谷友右衛門
松永大膳 中村獅童

孝太郎初役の雪姫は筋書によると玉三郎に教わったとのこと。なので、縛られる桜の木は下手。玉三郎菊之助のような華やかさや美しさはないけれど、きっちり楷書で品があったのがよかったと思います。

獅童の松永大膳は浅草歌舞伎以来2回目で、團十郎に教わったとのこと。見た目はなかなか立派。ただ、獅童義太夫狂言やるといつも思うのですが、セリフが義太夫味が薄いのが残念だなと思いました。

右團次の久吉が初役というのは意外。やったことあると思ってました。梅玉に教わったとのこと。すっきり二枚目でさすがでした。

國矢の鬼藤太も抜擢に応えて悪くない印象でした。


四世鶴屋南北
二、御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)

幡随院長兵衛 市川海老蔵
東海の勘蔵 市村家橘
飛脚早助 市川九團次
北海の熊六 片岡市蔵
白井権八 中村莟玉

莟玉の権八が時分の花で若衆姿がぴったり。初日でもあり、刀を腰に差すところなどでもたついたり扱いが慣れてない感じがちょっとしました。 海老蔵権八は親分の風格はまだ足りないものの、莟玉とだと年齢的にバランスがよかったです。

 

新作歌舞伎
秋元 康 作・演出
田尾下哲 演出
NINJA KABUKI
三、雪蛍恋乃滝(ゆきぼたるこいのたき)

稲妻 市川海老蔵
月姫 中村児太郎
幼少の稲妻 堀越勸玄
茶頭宗休 市川齊入
政虎 市川右團次
清宗 中村獅童

秋元康作ということで、あまり期待してなかったが、脚本がとても薄っぺらくて残念だった。ウランとかプルトニウムという言葉が出てくるのも違和感があったし、盛り上がる場面や感情がほとんど描かれないまま最後にあっさり心中してしまうので、あれ、これで終わり?という感じがしてしまいました。ABKAIか六本木歌舞伎でやるならよかったかもしれないですが、つまらなかったです。冒頭の取って付けた感のある勸玄くんの忍者の短い立ち廻りはよかったし、舞台いっぱいの大きな満月を背にして立つ海老蔵の姿やモノトーンの背景で雪の降る中で忍者と立ち廻りする海老蔵など絵面は美しいところもありましたが、残念。

 

夜の部
竹柴其水 作
一、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)め組の喧嘩
序 幕

第一場 島崎楼店先の場
第二場 島崎楼広間の場
第三場 八ツ山下の場
二幕目    神明社内芝居前の場

三幕目

第一場 焚出し喜三郎内の場
第二場 浜松町辰五郎内の場

 大 詰
第一場 神明町鳶勢揃いの場
第二場 角力小屋前の場
第三場 喧嘩の場
第四場 神明社境内の場

め組辰五郎 市川海老蔵

女房お仲 片岡孝太郎

辰五郎倅又八 堀越勸玄

九竜山浪右衛門 中村亀鶴
柴井町藤松 市川九團次
島崎楼抱おさき/背高の竹 大谷廣松
三ツ星半次 市川男寅
伊皿子の安三 中村玉太郎
おもちゃの文次 中村莟玉
宇田川町長次郎 市川新十郎
喜三郎女房おいの 中村歌女之丞
三池八右衛門 片岡松之助
神路山花五郎 澤村由次郎
露月町亀右衛門 片岡市蔵
尾花屋女房おくら 市川齊入
山九郎次 市村家橘
 四ツ車大八 市川右團次
江戸座喜太郎 市川左團次

焚出し喜三郎  中村梅玉

 

 焚出し喜三郎内の場が出るやり方はどうしても平成中村座での勘三郎さんを思い出してしまいます。喜三郎は梅玉だったし。島崎楼店先の場は門松、獅子舞などのお正月らしさもあり、四ツ車たちや宇田川町長次郎と酔っぱらった露月町亀右衛門が入ってくるので次の場面にすんなり入れるので良いと思います。焚出し喜三郎内の場も、喜三郎がどういう人かがわかりやすくなるので良かったです。

海老蔵の辰五郎はチンピラっぽさが否めない雰囲気で、仕方ないとはいえ菊五郎がやるときとは大きく違う。右團次の四ツ車は力士らしい風格があって立派。亀鶴の九竜山もとても良くて、亀鶴はうまい人なのに、今月この役一役だけなのがもったいないと思いました。莟玉のおもちゃの文次が勸玄くんの又八を肩車するところはとてもかわいらしかった。

國矢の鳶と左升の相撲取りの立ち廻りが面白かったです。新十郎の鳶もかっこよかった。

 

最後の場面で梅玉が梯子から降りてくるところで転倒してしまい、かつらが取れるというハプニングがありましたが、すぐに周りのみんなが囲んでかくしている間にかぶりなおして元通りセリフを言って事なきを得ましたが、けがをしたらとヒヤッとしました。初日ならではのミスだと思いますが、気を付けてほしいと思いました。


二、新歌舞伎十八番の内 雪月花三景(せつげつかみつのながめ) 仲国
仲国 市川海老蔵
胡蝶の精 市川ぼたん
虫の精 市川九團次
同 大谷廣松
同 市川男寅
同 中村玉太郎
仲章 中村莟玉
小督局 中村児太郎

 

歌舞伎十八番の内とは言っているが、仲国を主題にした舞踊劇なので、実質新作。最初に小督に手紙を渡しに来る莟玉の仲章が非常に品があり、輝くような貴人の雰囲気。烏帽子がとても似合う。源氏物語がまた上演されることがあったらぜひ出演してほしいと思いました。場面変わって九團次、廣松、男寅、玉太郎の踊りに続いてぼたんが登場。とてもかわいらしかったです。三つ目の場面でお弟子さんたちがたくさん出て、海老蔵も登場して群舞となりました



https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/664/

2020年1月2日 歌舞伎座夜の部

2020年の観劇はじめは歌舞伎座初日夜の部を観劇しました。

 

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一、義経腰越状(よしつねこしごえじょう)五斗三番叟
五斗兵衛盛次 松本白鸚
九郎判官義経 中村芝翫
亀井六郎 市川猿之助
伊達次郎 市川男女蔵
錦戸太郎 松本錦吾
泉三郎忠衡 中村歌六

五斗三番叟は上演記録を見ると、過去に富十郎團十郎吉右衛門で見ているはずなのですが、あまり記憶になく、團十郎さんがおおらかでおもしろかったという印象があるぐらい。他は寝てたのだと思います。

正直、話としてはなんだかわけがわからない、五斗兵衛の酔う場面を見せるだけみたいな感じです。白鸚の五斗兵衛はもう少しおおらかさとか愛嬌があるといいかなと思いました。酔った演技をしていても白鸚さんのまじめさが見えてしまっている感じがしました。お酒を呑んでる場面で外国人の方が笑ってたので、雰囲気は十分伝わってたようです。

阿古屋では出てくるだけの竹田奴がしゃべったり立ち廻りしたりかなり活躍するのがなかなか面白かったです。


河竹黙阿弥
二、澤瀉十種の内 連獅子(れんじし)
狂言師右近後に親獅子の精 市川猿之助
狂言師左近後に仔獅子の精 市川團子
僧蓮念 中村福之助
僧遍念 市川男女蔵

澤瀉屋の連獅子は久しぶり。とにかく気迫がすごかった。團子くんも全力で頑張っていて、客席もすごい盛り上がりでした。


三島由紀夫
二世藤間勘祖 演出・振付
三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
鰯賣猿源氏 中村勘九郎
傾城蛍火実は丹鶴城の姫 中村七之助
博労六郎左衛門 市川男女蔵
庭男実は藪熊次郎太 中村種之助
禿 勘太郎(偶数日)長三郎(奇数日)

傾城春雨 市川笑三郎
傾城薄雲 市川笑也
亭主 市川門之助
海老名なあみだぶつ 中村東蔵

 演目が発表されたときは、勘九郎は久しぶりの歌舞伎座なんだから他にやる演目あるだろうと思ったものでしたが、実際に見ると、やはりとても楽しくてお正月らしいおめでたい雰囲気にもなるので、とてもよかったです。

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/662/

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2019年歌舞伎ベスト10

2019年上半期よかったもの

・1月俊寛

・3月盛綱陣屋

・4月寿栄藤末廣

・4月実盛物語

・4月超歌舞伎

・5月オフシアター歌舞伎

・6月NARUTO

・6月石切梶原

・6月封印切

・6月三谷かぶき。

 

2019年下半期よかったもの

・7月歌舞伎座星合十三團
・8月南座超歌舞伎
・9月歌舞伎座沼津
・9月歌舞伎座勧進帳仁左衛門
・10月新橋演舞場オグリ
・11月歌舞伎座髪結新三
・11月ABKAI
・12月歌舞伎座阿古屋(玉三郎
・12月国立チャップリン
・12月新橋演舞場ナウシカ

 

 2019年ベスト10
・1月新橋演舞場 俊寛
・3月歌舞伎座 盛綱陣屋
・4月歌舞伎座 実盛物語
・6月歌舞伎座 三谷かぶき
・8月南座 超歌舞伎
・9月歌舞伎座 沼津
・9月歌舞伎座 勧進帳仁左衛門
・11月歌舞伎座 髪結新三
・12月歌舞伎座 阿古屋(玉三郎
・12月新橋演舞場 ナウシカ

 

2019年 お役ベスト10
海老蔵俊寛
松緑:縮屋新助
橘太郎:湯屋番頭甚太郎
菊五郎:め組辰五郎
猿之助:庄蔵/エカテリーナ
莟玉:サクラ
梅玉:マダラ
歌六松浦鎮信
團蔵:弥太五郎源七
七之助クシャナ

 

2019年よかったお役お弟子さん編
國矢:佐藤忠信
獅一:青龍
芝のぶ:庭の主
新十郎:外郎売 後見
當吉郎:熊谷
千壽:相模
千次郎:猿廻し与次郎
松十郎:中川縫之助/八坂源次兵衛
吉兵衛:土鬼僧兵隊長
京蔵:舞踊の夕べ 京鹿子娘道成寺

 

 

3/18 三月歌舞伎座 昼の部

三月歌舞伎座昼の部は名君行状記。あまり上演されないようで、初見。
真山青果の新歌舞伎にしてはなかなか面白かった。もちろん、セリフ劇で理屈っぽいのは他の作品と変わらないのだけれど、鷹揚な名君である梅玉と若さにはやって光政に詰め寄る亀三郎の組み合わせがなかなかぴったりと合っていて、退屈しなかった。
特に亀三郎が、セリフが明瞭で畳み掛けるセリフの息も良く、こういう主役級の役で出るといい味を発揮するということを見せてくれました。

渡海屋・大物浦は、仁左衛門が素晴らしかった。
どうしても吉右衛門と比べてしまい、渡海屋で出てきたところ、やや風格が足りないかと思ったけれど、正体を現してからが、新中納言としての品格と滅亡する平家の悲哀を感じさせて独特。吉右衛門の豪快さとは違った良さ。
大物浦になってからは、独特の刺さった矢の血を舐めるところや最後の崖からの飛び込みなど壮絶。
年齡からいって、おそらく、最後ではないかと思われる仁左衛門の知盛を記憶に焼き付けました。

どんつくは楽しく、巳之助がよく勤めていました。
海老蔵が他の人が踊っている最中に、よそ見をして心ここにあらずという感じだったのが残念。


昼の部

真山青果
真山美保 演出
今井豊茂 演出
一、明君行状記(めいくんぎょうじょうき)

池田光政   中村梅玉
青地善左衛門 坂東亀三郎
妻ぬい    市川高麗蔵
弟大五郎   中村萬太郎
若党林助   市村橘太郎
木崎某    中村寿治郎
吉江某    片岡松之助
筒井三之允  中村松江
磯村甚太夫  河原崎権十郎
山内権左衛門 市川團蔵


二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋
大物浦

渡海屋銀平実は新中納言知盛 片岡仁左衛門
女房お柳実は典侍の局    中村時蔵
相模五郎          坂東巳之助
銀平娘お安実は安徳帝    市川右近
入江丹蔵          市川猿弥
武蔵坊弁慶         坂東彌十郎
源義経           中村梅玉


十世坂東三津五郎三回忌追善狂言
三、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)
どんつく

荷持どんつく 坂東巳之助
親方鶴太夫  尾上松緑
若旦那    市川海老蔵
太鼓打    坂東亀寿
町娘     坂東新悟
子守尾上   市川右近
太鼓持    坂東秀調
太鼓持    坂東彌十郎
田舎侍    市川團蔵
芸者     中村時蔵
白酒売    中村魁春
門礼者    坂東彦三郎
大工     尾上菊五郎


http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/513

末広亭夜の部 柳家ろべえ改め柳家小八真打昇進披露

末広亭柳家ろべえ改め小八の真打昇進披露。

途中からなので割引で1500円。平日なのに二階席も満員で立ち見で聞きました。

中入り後
口上(喬太郎馬風、小八、小三治、市馬)
落語協会現会長、前会長、前々会長揃い踏みの口上。市馬の相撲甚句付き。
にゃん子金魚「漫才」
小三治「小言念仏」
さん喬「替わり目」
翁家社中「太神楽」
小八「居残り左平次」

口上とマクラでの小三治の亡き喜多八を偲ぶ言葉に泣き笑いしました。小三治の小言念仏は何回も聞いてるのに面白かった。

小八は、亡き師匠喜多八が小八時代に使っていたという手ぬぐいを持っての高座。
広げた手ぬぐいをきれいにたたむのに時間がかかって、私は何に時間をかけてるんでしょう。みなさんしばし御歓談ください。A型なもんでと笑わせてから居残り佐平次
小八の居残り佐平次は生きのいい江戸っ子口調が喜多八を思わせるところもあってとてもよかったです。

今後も期待大です。

末広亭夜の部 春風亭朝也改め春風亭三朝 真打昇進披露

今日は新宿末広亭の夜の部に行ってきました。春風亭三朝さんの真打昇進披露です。
ツイッターで見て気になってた、AKB48岡田奈々さんから贈られた後ろ幕も見ることができました。
AKB詳しくないんでどんな人なのか知らないのですが、自分の好きなアイドルからプレゼントされるなんて三朝さんもファン冥利につきるでしょうねえ。

三朝さんは妾馬。よかったです。

三遊亭伊織「真田小僧
カンジヤママイム 「パントマイム」
柳家東三楼「時そば
古今亭菊太楼「長短」
林家ぺー「漫談」
五明楼玉の輔「マキシム・ド・のん兵衛」
春風亭一朝「看板のピン」
林家正楽紙切り(若駒、鏡割り、口上、藤娘、愛宕山)」
柳亭市馬金明竹
鈴々舎馬風「漫談」
仲入り
真打披露口上(玉の輔、小朝、木久扇、三朝、一朝、馬風、市馬:木久扇のものまね、市馬の相撲甚句、一朝の笛)
すず風にゃん子金魚「漫才」
春風亭小朝「こうもり」
林家木久扇「彦六伝」
柳家さん喬「踊り(なすかぼ)」
翁家社中「太神楽」
春風亭三朝「妾馬」

春風亭三朝ツイッター
https://twitter.com/choya_shumputei/status/848194127917309952

岡田奈々ツイッター
https://twitter.com/okadanana_1107/status/846960149310951425

小朝のブログ
http://ameblo.jp/koasa-blog/entry-12260577686.html?frm_src=thumb_module

3/4 NODA・MAP足跡姫@東京芸術劇場プレイハウス

3/4に東京芸術劇場NODA・MAP「足跡姫」を観ました。
チケット買ってなかったので、当日券に並びました。けっこうな人数並んでいて後ろの方でしたが、A席で2階の左側の席を買いました。
見切れるとのことでしたが、それほど気にならず、舞台も花道も近いのでかえってよい席でした。

宮沢りえ妻夫木聡古田新太佐藤隆太鈴木杏中村扇雀ら豪華な出演者で、それぞれ演技が素晴らしかった。
中村勘三郎さんへのオマージュということで、最後の方の妻夫木聡の、猿若が初代となって十八代まで続くといったセリフは野田秀樹勘三郎さんへの思いがストレートに伝わってきて、号泣しました。