2/19 六本木歌舞伎 第二弾「座頭市」昼の部@EXシアター

すでにTwitterなどで感想を目にしていたので、2/19に期待と不安を抱えて六本木歌舞伎を観ました。

全体的な印象としては、思ったより面白かったけど、贔屓目で見ても微妙だなという感じ。
リリー・フランキー三池崇史海老蔵のやりたいことがぐちゃぐちゃになっててうまく混ざり合ってないのかなあという感じがしました。本来はまとめるのは座頭の仕事なんでしょうし、海老蔵勘三郎みたいなことをしたいんだろうなというのはわかるんだけど、スベってうまくいってない感じ。海老蔵のやりたい意欲はいいんだけ惜しいと感じました。

最初の方から振り返ると、まず定式幕が汚れた風になっているのが面白い。
幕が開いて、最初に暗い中に白いTシャツにスエット姿の海老蔵がスポットライトで浮かび上がり、本水の雨の中、新十郎の刺客の声で刺客が襲いかかるのを座頭市が一瞬で切り伏せる冒頭は非常にかっこよく、期待させるものでした。

その後、海老蔵が上手に座って水を拭き、バナナを食べるうちに、下手から寺島しのぶの花魁道中の登場。なぜか竹田奴が付いているのが不思議。
海老蔵遊郭へ歩いて行く場面は客席降りでお客さんに「六本木遊郭はどちらですか」と聞いたり、お客さんがあっちと答えると、「芝居観てました?あっしは見えないんであっちとか言われてもわからないんです」とか、お客さんが喜んでました。

寺島しのぶの二役目は、盲目の少女役。
遊郭での寺島しのぶ海老蔵の濡れ場はアドリブらしいですが、エッフェル塔がとか、セーヌ川がとか、帯で縛られて、太夫は毎日フランス人とこんなことしてるのかもしれませんが私はそんな趣味はとか、いったセリフが入ってました。

幕間には、役者さんたちがロビーに出てきて写真も撮らせてくれるサービス。これは盛り上がって非常にいいなと思いました。

二幕目の幕開き前に、右若、明三郎、玉朗。右若がノリノリで客席と掛け合いするのも面白かった。
寺島しのぶは花魁と少女の早替りもあって、歌舞伎らしい振る舞い。でも、歌までミラーボール回して歌わせるのはやりすぎかと思いました。

二幕目は市蔵、右團次が存在感大きい。
右團次が出てきて、立廻りが始まるまでの静寂の瞬間が非常に緊迫感があって、右團次が大きい役者になったことを改めて感じました。

祭りの群衆の中での立廻りは、夏祭を思わせるものがありました。
最後、斬られた右團次が鵺となって、復活。連理引きで海老蔵を引き戻して、海老蔵の持っていたナタが大きくなって客席へ下りて、荒事風の立廻りになりました。座頭市なのに唐突で、立廻り自体はかっこよかったけど、結局海老蔵を引き立たせるには荒事にしちゃうのかとちょっと残念に思いました。

地球投五郎の時は話はムチャクチャだったけど、一応荒事だから最後海老蔵がかっこよく見得すれば済んだけど、今回は座頭市というテーマを選んだわりには、中途半端だったかなあという印象で、ちょっと残念です。あと、義太夫使ったり、太鼓や津軽三味線、尺八使ったり、音楽はけっこうよかったと思います。
まあ、普段歌舞伎を観ないお客さんを引きつけるという役割は果たしていると思うので、今後も六本木歌舞伎は続けてほしいと思います。

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/509

2/5 江戸歌舞伎三百九十年猿若祭二月大歌舞伎@歌舞伎座

二月歌舞伎座は月の前半に行きました。

二月は何と言っても、勘太郎を名乗る七緒八くんと長三郎を名乗る哲之くんの初舞台。
三歳と五歳とは思えないしっかりしていて、かわいらしく、セリフも立派に言えて、見得もしっかりしていました。
勘九郎七之助は終始心配そうに見守っていましたが、その他の出演者はみんなニコニコ嬉しそうで、客席も幸せいっぱいな雰囲気でした。特に中村屋の贔屓というわけではないのですが、涙が出てしまいました。
勘三郎三津五郎がこの場にいてほしかったとみんなが思っていたことと思います。


次に面白かったのが、梅ごよみ。
菊之助勘九郎の粋な辰巳芸者同士の恋の鞘当てが面白い。菊之助のツンとしたところと、勘九郎の情があって意地っ張りなニンの違いがぶつかるところが非常にいい配役だと思いました。
染五郎の女に弱くてたよりない感じがはまり役。脇では歌女之丞がいい味を出していたし、歌六はとにかくすっきりとかっこよく、亀鶴は悪のふてぶてしさが出ていてそれぞれよかったです。
わかりやすい話なので、外国人のお客さんにも受けてました。特に羽織を踏みつけるところとか。
場面的には、序幕の川の場面が見た目的によいですね。あんなに回り舞台の奥まで見せる芝居って他にあまりないんじゃないでしょうか。


昼の部最初の猿若江戸の初櫓は勘九郎の踊りがきもちよく、朝一番にふさわしい演目。
宗之助が若集の筆頭でひとりで踊るところもあり、珍しく目立ったのがうれしかった。


大商蛭子島は久々の上演とあって、初めて見た演目ですが、予想外に面白かった。
二代目松緑の主役で復活狂言として上演されたものだそうで、実は頼朝、実は政子、実は文覚上人というように、実は実はばかり。
最初の寺子屋の場面では、松緑芝のぶ、千寿らの寺子の女の子にセクハラして時蔵が嫉妬するという展開。
本来、二代目松緑や現松緑のニンではないでしょうが、まあ面白かった。
最後は旗揚げでめでたく幕。
中村屋松緑の共演は今後もたくさんやってほしいと思います。


四千両は演舞場で見て以来。菊五郎の醸し出す江戸の雰囲気がさすが。おでんを売るときの、おでんやー、甘いの、辛いのというときのなんとも言えない風情がよかった。
やはり牢内が一番面白く、亀三郎、亀寿、歌六、菊十郎をはじめ、声のいい人が多いので聞いてて楽しかったです。

扇獅子は四千両の暗い雰囲気からうって変わって、梅玉がすっきりした鳶姿で出てくるので気持ちよく打ち出し。


夜の部の絵本太功記は桃太郎で集中しすぎたせいか、寝てしまいました。


昼の部

田中青滋 作
一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

猿若    中村勘九郎
出雲の阿国 中村七之助
若衆    澤村宗之助
若衆    中村児太郎
若衆    中村橋之助
若衆    中村福之助
若衆    中村吉之丞
若衆    中村鶴松
福富屋女房ふく 市村萬次郎
奉行板倉勝重  坂東彌十郎
福富屋万兵衛  中村鴈治郎



初代桜田治助 作
  戸部銀作 補綴
二、大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)
「黒髪」長唄連中

正木幸左衛門実は源頼朝   尾上松緑
地獄谷の清左衛門実は文覚上人/北条時政  中村勘九郎
おます実は政子の前     中村七之助
清滝            中村児太郎
熊谷直実          市村竹松
畠山重忠          大谷廣太郎
佐々木高綱         市川男寅
三浦義澄          中村福之助
下男六助          坂東亀寿
家主弥次兵衛        市川團蔵
女房おふじ実は辰姫     中村時蔵


河竹黙阿弥
三、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より牢内言渡しまで

野州無宿富蔵   尾上菊五郎
女房おさよ    中村時蔵
伊丹屋徳太郎   中村錦之助
浅草無宿才次郎  尾上松緑
寺島無宿長太郎  尾上菊之助
黒川隼人     中村松江
頭        坂東亀三郎
三番役      坂東亀寿
下谷無宿九郎蔵  中村萬太郎
ぐでんの伝次   市村橘太郎
下金屋銀兵衛   片岡松之助
穴の隠居     澤村由次郎
数見役      河原崎権十郎
石出帯刀     坂東秀調
生馬の眼八    市川團蔵
隅の隠居     中村歌六
うどん屋六兵衛  中村東蔵
浜田左内     坂東彦三郎
牢名主松島奥五郎 市川左團次
藤岡藤十郎    中村梅玉


四、扇獅子(おうぎじし)

鳶頭   中村梅玉
芸者   中村雀右衛門




夜の部

萩原雪夫 作
一、門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)
三代目中村勘太郎 二代目中村長三郎 初舞台
劇中にて口上相勤め申し候

兄の桃太郎 初舞台 中村勘太郎
弟の桃太郎 初舞台 中村長三郎
お婆さん      中村時蔵
お爺さん      中村芝翫
息子勘作/鬼の総大将  中村勘九郎
嫁お鶴       中村七之助
犬彦        市川染五郎
猿彦        尾上松緑
雉彦        尾上菊之助
村の女       中村児太郎
村の男       中村橋之助
村の男       中村福之助
鬼         松本錦吾
鬼         片岡亀蔵
村の男       坂東彌十郎
庄屋妻お京     中村雀右衛門
吉備津神社巫女お春 中村魁春
庄屋高砂      中村梅玉
吉備津神社神主音羽 尾上菊五郎


二、絵本太功記(えほんたいこうき)
尼ヶ崎閑居の場

武智光秀  中村芝翫
操     中村魁春
真柴久吉  中村錦之助
佐藤正清  中村橋之助
初菊    片岡孝太郎
武智十次郎 中村鴈治郎
皐月    片岡秀太郎


為永春水 原作
木村錦花 脚色
三、梅ごよみ(うめごよみ)

向島三囲堤上の場より深川仲町裏河岸の場まで
丹次郎   市川染五郎
芸者仇吉  尾上菊之助
芸者米八  中村勘九郎
千葉半次郎 中村萬太郎
許嫁お蝶  中村児太郎
本田近常  中村吉之丞
芸者政次  中村歌女之丞
太鼓持由次郎 片岡松之助
番頭松兵衛  嵐橘三郎
古鳥左文太  中村亀鶴
千葉藤兵衛  中村歌六

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/

2/4 文楽第一部「平家女護島」@国立劇場

近松名作集の2月文楽のうち、第一部を見ました。
歌舞伎でも有名な「俊寛」ですが、今回は文楽でもあまり上演されない、「六波羅の段」と「舟路の道行より敷名の浦の段」付き。

六波羅の場面は、歌舞伎では国立劇場幸四郎がやったときに上演されたのを見たことがあります。
歌舞伎では、あずまやの自害のみがフォーカスされていたところ、文楽では有王丸という俊寛の身内が出てきて立廻りがあるのが違っていたところ。清盛の横暴さ、教経の知将ぶりがよくわかる場面です。しかし、顔が好きなら首だけでいいだろうから、首にして持ってきたというのは怖い。

俊寛、舞台が歌舞伎と違って庵がなく、海だけが広がっていて、より寂寥とした雰囲気が強く感じられました。
少将だったか、康頼だったかどちらか忘れましたが、岩場を降りてくるのもちょっと面白く感じました。歌舞伎では澤瀉屋の型で岩を降りて登場するのを見たことがあります。
全体的に、場面のドラマチックさでは歌舞伎が勝るように思いました。

最後に「舟路の道行より敷名の浦の段」。清盛が法皇を海に投げ込み、助けようとする千鳥。そしてなんと、千鳥が清盛に殺されてしまうという、今まで全く知らなかったストーリー展開に驚きました。これは歌舞伎で上演されないのも当然かなと思いました。

今回、席が床の近くだったので、迫力があって楽しかったです。

http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2016/21039.html?lan=j

1/22 「初春新派公演」 華岡青洲の妻@三越劇場

新派の華岡青洲の妻を観ました。
喜多村緑郎華岡青洲は、新派にすっかり馴染んだ感があり、医学に燃える青年といった雰囲気がぴったりでした。
新たに新派に加入した春猿改め河合雪之丞は、水谷八重子波乃久里子と並ぶと少々でかいのが気になってしまいましたが、喜多村緑郎と二人での演技は非常に相性がよく、さすがだと思いました。
春猿にともなって新派入りした、市川笑三改め河合誠三郎市川猿若改め河合穗積も行商人役で澤瀉屋で培ったうまいところを見せていましたし、川猿珠改め河合宥季も女優に混じって違和感ないところを見せていました。今後、三人共新派の貴重な役者として頑張ってほしいです。

初春新派公演
華岡青洲の妻  四幕
―新春、入団ご挨拶申し上げます―

有吉佐和子
齋藤雅文演出

於継  :水谷八重子
華岡青洲喜多村緑郎
加恵 :市川春猿 改め河合雪之丞
小陸 :波乃久里子

1/15 壽 初春大歌舞伎@歌舞伎座

1月歌舞伎座は昼夜通しで観ました。

最初が「将軍江戸を去る」。大政奉還百五十周年と謳っているものの、なぜ、お正月の最初がこれなのかわかりません。
が、意外に面白かったです。最初の彰義隊の場面、いつもあまり面白いとも思わないのですが、歌昇、種之助、男寅、廣太郎らの若手がやることで、血気にはやるイメージが鮮明になり、幕末の殺伐とした雰囲気を出しました。
愛之助の山岡もなかなかセリフもよかった。慶喜との問答のところはやはりちょっと寝てしまったのですが、受ける染五郎も、慶喜は若かったんだなという感覚が、大御所がやるときと違って伝わってきて、いつもと違う見方ができました。

大津絵道成寺愛之助の五役演じ分けが面白かったです。女形をやる愛之助を観たのははじめてかも。
途中、常磐津の見台から出てきたケレンには驚きました。猿之助以外であれをやるとは。
その他では、種之助の犬が愛嬌があってかわいらしく、染五郎の押し戻しが立派でした。

1月の中で一番良かったのは、沼津。
吉右衛門歌六のやりとりが軽妙で、客席降りでも観客が沸く前半から、一転して悲劇となる後半。
吉右衛門のセリフが胸にしみるようで、歌六の最後も切ない。

夜の部の最初は井伊大老。これが予想外に面白かった。今までに何回か観たけれど、寝ないで観たのは初めてかも。
桜田門外の変は3月3日。お静の方と過ごしているのはその前日ということを今まであまり意識しないでいたのですが、筋書をじっくり読んだこともあって今回初めて、雛人形も、雪が降ってくるのも、翌日の悲劇につながっていることを感じて、なんとも言えない感じを抱きました。幸四郎の普段だと気になるセリフのくせなども気にならず、井伊直弼というのはこういう人だったんだろうなという史実らしさを感じました。玉三郎のお静の方も、この人らしい、古典では義太夫味が薄くなってしまうような感情表現も、この作品では活きているように感じました。

次が富十郎七回忌追善。鷹之資の踊りはきっちりしていて、この年齡で歌舞伎座でひとりで踊るには充分な出来だと思いました。将来が楽しみです。玉三郎の傾城は、とにかく美しかった。

最後は松浦の太鼓。これは染五郎の年齡ではきついなと感じました。もう少し年を取らないと、吉右衛門のような愛嬌は出ないで、ただのコメディのような雰囲気になってしまうと思いました。今後に期待したいと思います。


昼の部

大政奉還百五十年
真山青果
真山美保 演出
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)

徳川慶喜  市川染五郎
山岡鉄太郎 片岡愛之助
土肥庄次郎 大谷廣太郎
吉崎角之助 市川男寅
間宮金八郎 中村種之助
天野八郎  中村歌昇
高橋伊勢守 中村又五郎


河竹黙阿弥
二世藤間勘祖 構成
二、大津絵道成寺(おおつえどうじょうじ)
愛之助五変化

藤娘
鷹匠
座頭
船頭
大津絵の鬼 愛之助

弁慶 中村歌昇
犬  中村種之助
外方 中村吉之丞
矢の根の五郎 市川染五郎



伊賀越道中双六
三、沼津(ぬまづ)

呉服屋十兵衛 中村吉右衛門
お米     中村雀右衛門
荷持安兵衛  中村吉之丞
池添孫八   中村又五郎
雲助平作   中村歌六



夜の部

北條秀司 作・演出
一、井伊大老(いいたいろう)

井伊直弼   松本幸四郎
仙英禅師   中村歌六
長野主膳   市川染五郎
水無部六臣  片岡愛之助
老女雲の井  上村吉弥
宇津木六之丞 松本錦吾
中泉右京   市川高麗蔵
昌子の方   中村雀右衛門
お静の方   坂東玉三郎



   五世中村富十郎七回忌追善狂言
二、上 越後獅子(えちごじし)

角兵衛獅子 中村鷹之資

  下 傾城(けいせい)

傾城 坂東玉三郎


三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)

松浦鎮信 市川染五郎
大高源吾 片岡愛之助
お縫   中村壱太郎
宝井其角 市川左團次


http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/508

1/14 初春歌舞伎公演 「通し狂言 しらぬい譚」@国立劇場

菊五郎劇団の毎年おなじみのお正月公演。
例年通り、いろんな見せ場があって、ストーリーはそんなに気にする必要はなく、おっとりしたお正月気分で楽しめる演目でした。

幕開き、海の中に鐘が沈んでいて、銀色に光る魚の群れが泳ぐ中、上から菊之助が下りてくる。このシーンが黒衣が操る魚群もきれいで幻想的な雰囲気でした。
話題の亀蔵によるピコ太郎の真似でのPPAPは見た目は本物にそっくり。でも内容は「お照とお照でてるてる坊主」と、語呂を活かした本家とは違っていまひとつ。でも、短い時間ながらインパクトはありました。

菊之助の2回の筋交いの宙乗りは、2階席で観たので、すぐ目の前を通っていってくれて、とても面白かったです。
右近の化け猫は独道中五十三駅の化け猫みたいで、猫四天と松緑の立廻りは面白かった。

最後は劇団揃って、てぬぐいをまいて、お決まりのさらばさらばで幕。内容はあんまりないけど、楽しめる内容でした。

尾上菊五郎
中村時蔵
尾上松緑
尾上菊之助
坂東亀三郎
坂東亀寿
中村梅枝
中村萬太郎
市村竹松
尾上右近
尾上左近
市村橘太郎
片岡亀蔵
河原崎権十郎
坂東秀調
市村萬次郎
市川團蔵
坂東彦三郎

http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2016/5326.html?lan=j

1/9 壽新春大歌舞伎 市川右近改め三代目 市川右團次 襲名披露 二代目 市川右近 初舞台 昼の部@新橋演舞場

右團次襲名昼の部は、雙生隅田川。
この演目で驚いたのは初舞台の右近のすごさ。
武田タケルの名前で一度舞台に出ているけれど、今回が初舞台。まだ小学校にも上がっていない6歳で、早替わりと宙乗りをこなし、セリフもきっちり。
天才子役の出現と言っても過言ではないかも。将来が楽しみです。

右團次の猿島惣太がこってりと、悪から自害して天狗になるさまを見せて見ごたえありました。
天井から小判を落とすところとか、切腹して腸をつかみだすところとか、関西出身らしい、澤瀉屋一門らしい、ともすればしつこくなりそうなところが何とも面白く、味わいがありました。
最後の鯉つかみも奮闘で、右團次襲名でひとつ役者が大きくなった感じがしました。

ほか、米吉の立役が二カ月連続で見られるとは思いませんでした。小姓役が非常によく似合っていました。

昼の部

近松門左衛門
戸部銀作 脚本・演出
奈河彰輔 脚本・演出
市川猿翁 脚本・演出
石川耕士 補綴・演出
三代猿之助四十八撰の内
通し狂言 雙生隅田川(ふたごすみだがわ)

市川猿之助
市川右團次 宙乗り相勤め申し候
市川右 近


猿島惣太後に七郎天狗/奴軍介 市川右近改め右團次
班女御前    市川猿之助
大江匡房    市川中車
淡路前司兼成  市川男女蔵
小布施主税   中村米吉
次郎坊天狗   大谷廣松
梅若丸/松若丸 初舞台 市川右近
局 長尾    市川笑三郎
勘解由兵衛景逸 市川猿弥
惣太女房 唐糸 市川笑也
吉田少将行房  市川門之助
県権正武国   市川海老蔵