国立劇場 6月歌舞伎鑑賞教室「俊寛」

2日に国立劇場の歌舞伎鑑賞教室の初日に行ってきました。

一階席は高校生がいっぱいで普段と違う雰囲気でした。

まずは、廣太郎の解説歌舞伎のみかた。最近はいろいろ工夫をこらしたものが多いですが、今回はオーソドックス。廣太郎は初ということもあって、ちょっと緊張しているようにも見えましたが、きっちりとわかりやすい解説でした。
立ち回りの解説のところで、橋吾と来年歌舞伎俳優になる研修生たちが出演、研修生のひとりに廣太郎がインタビューしてました。
インタビューを受けたのは24歳で、将来は主役をしっかり支えるような脇役になりたいとのこと。興味を持ったら研修生募集のパンフレットが劇場にあるので、と学生に呼びかけていました。


橋之助の俊寛は、非常に立派でよかったと思います。少将と千鳥のことを聞いて喜ぶ様子が本当にうれしそうなところや、赦免状を見て「ない!」と叫ぶところの感情表現がうまいと思いました。また、パンフレットのインタビューに、「俊寛は鹿ヶ谷でクーデターを謀るバイタリティーあふれる三十代です。流刑後も火が付けばまた燃え上がるものをどこかに持っている人だと思います。それを踏まえ、一人島に残った後、いろんな感情が表に現れる役づくりをしています。」とあるとおり、枯れた老人の雰囲気ではなく、「思い切っても凡夫心」という言葉がぴったりくるような若さを感じました。幕切れもほかの人によくあるような悟ったような茫然としたような表情と言うよりも、都への思いが感じられる表情でした。


團蔵の瀬尾はよかった。團蔵の悪役はなんとなく左團次段四郎なんかと比べると物足りなさを感じることが多いのですが、今回はとても憎々しげで良かったです。
権十郎の丹左衛門は爽やかでした。


普段女形の芝喜松と芝のぶはどうなんだろうと観る前は心配だったのですが、芝喜松はさすがベテランの安定感。芝のぶの少将は、上品で色男らしく、思ったよりとてもよかったです。特に俊寛から千鳥との馴れ初めを聞かれて恥ずかしがるところなど、おっとりとしてかわいらしかった。こういう雰囲気の少将は初めて観た気がします。
児太郎の千鳥はがんばってました。



河竹登志夫=監修
解説 歌舞伎のみかた
                   
解説:大谷廣太郎

有王丸 中村橋吾
船頭 岩出隼門
同  折田敦
同  柏原俊也
同  河上聡
同  岸本源輝
同  鈴木龍矢
同  瀧口聡太
同  増田隼人
同  吉岡尚彦
              
近松門左衛門=作
平家女護島(へいけにょごのしま)
俊寛 (しゅんかん) 一幕
        国立劇場美術係=美術

       鬼界ヶ島の場

                   
俊寛僧都 中村橋之助
海女千鳥 中村児太郎
平判官康頼 中村芝喜松
丹波少将成経 中村芝のぶ
丹左衛門尉基康 河原崎権十郎
瀬尾太郎兼康 市川團蔵