3/17 三月新橋演舞場 昼の部

先日、新橋演舞場を通しで観てきました。


昼は染五郎初役の荒川の佐吉がとてもよくて泣かされました。これから何度もやっていく当たり役になりそうな気がします。


前に観た仁左衛門のもよかったけれど、やはり染五郎だと若い分だけ、情けない三下が成長していく様子がリアルに感じられました。
亀鶴も好演。仁左衛門染五郎のときよりも年齢的に兄弟分の感じがよく出ていました。

梅玉の敵役がニヒルで良かった。ただ、花道際で清五郎を一瞬で斬り倒す場面は前に観た歌六の方がかっこよかったように思います。
幸四郎が重みのある親分の風格、福助は控えめで良かったです。


梅枝、宗之助、高麗蔵、錦吾もよかった。
錦吾は若い染五郎や亀鶴を相手にするとさすがに親分の格に見えました。
宗之助や高麗蔵も任侠の世界に生きる男らしく、きりっとかっこよく演じていました。


そのほか、序幕の最初に出る欣弥、大蔵、芝のぶがなかなか良くて芝居にすっと入っていくことができた気がします。子役の子もうまくて泣かされました。


九段目山科閑居は、福助の小浪、時蔵のお石、菊五郎の由良之助がそれぞれ初役。
今までに戸無瀬は玉三郎勘三郎芝翫を観たことがあって、それぞれ好かったのですが、藤十郎もさすがベテランの風格がありました。
舞台は雪の中の設定なのに藤十郎幸四郎の熱演で暑く感じました。
時蔵のお石が凛としていて大星の奥方らしく、菊五郎の由良之助は志を秘めた芯の強い人物に見えました。

福助は前半はいつものように力入りすぎで声も変かなと思ったのですが、後半は良く、戸無瀬の刃の下で手を合わせる様子は健気で可愛らしく感じました。
染五郎の力弥は若々しく、すっきりしていました。



昼の部

  江戸絵両国八景
一、荒川の佐吉(あらかわのさきち
  序 幕 江戸両国橋付近出茶屋岡もとの前の場より
  大 詰 長命寺前の堤の場まで

                 荒川の佐吉  市川染五郎
                丸総女房お新  中村福助
                隅田の清五郎  市川高麗蔵
                 大工辰五郎  中村亀鶴
                 極楽徳兵衛  澤村宗之助
                   お八重  中村梅枝
                鍾馗の仁兵衛  松本錦吾
                成川郷右衛門  中村梅玉
                相模屋政五郎  松本幸四郎
                


二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
  九段目 山科閑居
                   戸無瀬  坂田藤十郎
                大星由良之助  尾上菊五郎
                    小浪  中村福助
                  大星力弥  市川染五郎
                    お石  中村時蔵
                 加古川本蔵  松本幸四郎