翌日は昼の部を観ました。
一、播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)
浅山鉄山 片岡愛之助
岩渕忠太 片岡亀蔵
腰元お菊 片岡孝太郎
番町皿屋敷の方がメジャーになってしまったからでしょうか、上演記録を見ると、戦後3回しかやってないのですね。前回、橋之助・扇雀がやったのは観ましたが、思ったよりあっさり終わってしまって面白くなかったという印象が残っています。昭和46年に孝夫・玉三郎でやった記録がありましたが、若いころの玉三郎で綺麗だったでしょうね。
お菊がお皿を一枚、二枚と数えていくところと、一枚足りないので井戸につるされて、鉄山に殺される場面が見どころです。孝太郎が悪いとは言いませんが、もっと若くてきれいな役者さんでやった方が哀れさがより出るのかもしれませんし、通しでやったらもっと面白いのかもしれないと思いました。
二、新歌舞伎十八番の内素襖落(すおうおとし)
太郎冠者 坂東三津五郎
鈍太郎 片岡亀蔵
次郎冠者 坂東巳之助
三郎吾 中村萬太郎
姫御寮 中村梅枝
大名某 坂東秀調
三津五郎のコミカルさが楽しかった。そもそも面白い踊りなのだけど、三津五郎のようなうまい人がやると無理に笑わそうとしなくても自然とおかしさが伝わってきて思わず笑ってしまうものなのですね。
三、江戸唄情節(えどのうたなさけのひとふし)
序幕 芝居茶屋伏見屋より
大詰 村山座の舞台まで
杵屋弥市 片岡仁左衛門
芸者米吉後に女房お米 中村時蔵
坂東彦三郎 坂東三津五郎
市村家橘 片岡愛之助
俵屋娘おいと 中村梅枝
隣家の女房お留 上村吉弥
番頭平助 坂東竹三郎
小揚げの七兵衛 坂東彌十郎
伏見屋女将おふさ 片岡秀太郎
やくざ上がりの三味線弾きの弥市が主人公の話。昭和になってから書かれた三味線やくざという話が原作だそうで、わかりやすく、ストーリー的にはベタな話ですが、感動しました。
仁左衛門が劇中で三味線を弾くのがひとつの見どころ。さすがに本物と比べるわけにはいきませんが、十分うまい演奏だったと思います。また、劇中劇とはいえ、三津五郎と愛之助の連獅子を観ることができるとは、何とも得した気分になりました。その連獅子へ彌十郎が乗り込んできて舞台が騒然となるのは幡随長兵衛を思い出しました。彌十郎がやくざの親分らしい立派な風格を出していてよかったです。