6/19 新橋演舞場 昼の部

昼の部


一、頼朝の死(よりとものし)

源頼家  市川染五郎
小周防  片岡孝太郎
畠山重保  片岡愛之助
音羽  中村梅枝
榛谷重朝  中村種太郎
藤沢清親  中村萬太郎
別当快順  大谷廣太郎
別当慈円坊祐玄  中村吉之助
別当定海  大谷桂三
中野五郎  市川右之助
小笠原弥太郎  大谷友右衛門
大江広元  中村歌昇
尼御台所政子  中村時蔵


これまで観てきたのはほとんどが梅玉で、一回だけ吉右衛門で見たことがあります。今回は、若い染五郎愛之助が頼家と重保を演じるということでこれまで観たものと違った、若者の悩みという面がよく伝わってきたように思います。

それにしても染五郎は烏帽子が似合います。最初に柱に寄りかかって月を見ている登場場面など本当にきれいでした。時蔵の政子はもう少し重々しさや威厳があってもいいと思いますが、気品があってよかった。脇では、前回観たときも感じたのですが、本来の役柄ではなさそうな中野五郎を演じた右之助がなかなか好演だったと思います。



二、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
  鶴ヶ岡八幡社頭の場


                梶原景時  中村吉右衛門
                   梢  中村芝雀
                俣野景久  中村歌昇
              大名山口政信  中村種太郎
              大名川島近重  中村種之助
              大名岡崎頼国  中村米吉
              大名森村宗連  中村吉之助
                剣菱呑助  澤村由次郎
                飛脚早助  中村錦之助
                六郎太夫  中村歌六
                大庭景親  市川段四郎


吉右衛門の梶原はもう安定感抜群で言うことなし。歌昇の俣野が若々しくて、特に梶原に刀を渡すところ、姿勢が低くきちっと決まっていて姿がきれいでした。段四郎の大庭は態度が偉そうで憎々しげなところがよかった。芝雀の梢の健気さ、歌六の一途な気持ちの六郎太夫など周囲も充実していたと思います。手水鉢を切るところ、吉右衛門が刀を構えたところから斬りおろし、ゆっくりと手水鉢が割れるまでのしぐさ、間の取り方がとてもよくて引き込まれました。こちら向きで斬る橘屋型の方が好きなのですが、播磨屋型の後ろ向きで斬るのもいいものだなあと今回初めて思いました。



三、連獅子(れんじし)

        狂言師右近後に親獅子の精  片岡仁左衛門
        狂言師左近後に仔獅子の精  片岡千之助
               浄土僧専念  片岡愛之助
               法華僧日門  中村錦之助


千之助くんが立派に演じていました。仁左衛門よりも千之助の方にどうしても目が行ってしまいました。腰を落とした姿や、手を斜め上に上げた姿など、ひとつひとつの姿が十一歳とは思えないほどしっかりしていてきれいでした。将来、彼が立派な役者になった暁にはこの舞台を観たことを若い歌舞伎ファンに自慢したいと思います。