4月歌舞伎座 第2部
身代わりとして寺入りしたばかりの子を殺さなければならない苦しみとか、松王丸と対峙したときの緊迫感とか、勘三郎の演じる戸浪を抱き寄せて嘆くところの二人の愛情と哀しさを感じるところとか、こんなに感情を感じる源蔵は観たことないなと思いました。大げさな表現をするわけではなく、演技は抑えているにもかかわらず、これだけ伝わってくるのが素晴らしかった。
対する松王丸の幸四郎は、すごく感情込めまくった演技。最初に出てくるときに仮病で咳をするのがやたらにリアルな咳をするのが違和感あった。首実検のときも、表情も感情あらわで、それじゃせっかくの作戦が玄蕃にバレるぞと突っ込みを入れたくなった。「源蔵殿、御免」で泣くところは、最初に見た日は感極まりすぎてか、鼻水だかよだれが垂れてました。
いつもだったら、感情過剰な幸四郎は嫌なのですが、源蔵の控えめな感じと対照的だったせいか、かえって悲しみが引き立って感動しました。観てるこっちも歌舞伎座が最後の月ということで感情が高ぶりやすくなっていたせいもあるかもしれませんが。
菅原伝授手習鑑
一、寺子屋(てらこや)
松王丸 幸四郎
千代 玉三郎
戸浪 勘三郎
涎くり与太郎 高麗蔵
菅秀才 金太郎
百姓吾作 錦 吾
園生の前 時 蔵
春藤玄蕃 彦三郎
武部源蔵 仁左衛門