歌舞伎座 盟三五大切

仁左衛門が怖かった。


歌舞伎の殺し場は様式美になってるから普通は美しくて、怖いとは感じないんだけど、前半のいい人との対照がみごとでした。小万の腕に彫られた刺青が自分への誓いの五大力から三五郎への三五大切に変わっているのを見て感情が爆発するところとか、自然でリアルでした。仁左衛門だったら映画とかでこの芝居やってもうまいだろうなあと思いました。


女に裏切られて逆上して殺し、切った首を持ち帰って、それを前にして食事をするって猟奇殺人、現代なら本当にあってもおかしくなさそうだからよけいに怖いですね。


よく考えると今月は、伊勢音頭も盟三五大切も大量殺人、寺子屋先代萩は子供が犠牲になる話、国立も殺人鬼と、殺してばっかりです。


伊勢音頭も現実に起きた話を下敷きにしているそうだし、五人切りという事件も実際にあったらしい。歌舞伎は今で言うワイドショー的な役割もあったからだけど、事件を直後に劇化するなんて今じゃちょっと考えられないですね。


一、通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)
  序 幕 佃沖新地鼻の場
      深川大和町の場
  二幕目 二軒茶屋の場
      五人切の場
  大 詰 四谷鬼横町の場
      愛染院門前の場
          薩摩源五兵衛    仁左衛門
            芸者小万    時 蔵
          六七八右衛門    歌 昇
           出石宅兵衛    翫 雀
          お先の伊之助    錦之助
            芸者菊野    梅 枝
         ごろつき勘九郎    権十郎
           廻し男幸八    友右衛門
           内びん虎蔵    團 蔵
          富森助右衛門    東 蔵
            家主弥助    左團次
            僧 了心    田之助
          笹野屋三五郎    菊五郎


二、玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう)
  吉田屋
          藤屋伊左衛門    藤十郎
            扇屋夕霧    魁 春
           若い者松吉    亀 鶴
           女房おきさ    秀太郎
         吉田屋喜左衛門    我 當