もう12月も半ばですが、先月のことを書きます。先月は、仁左衛門休演で残念でしたが、代演の梅玉も松緑も頑張っていて、見ごたえがありました。
昼の部、双蝶々曲輪日記は、井筒屋と難波裏が付いていて話がわかりやすかったです。
今まで筋書のあらすじなどで簡単にしか知らなかった部分の筋がわかり、引窓がより楽しめました。
人を殺したいきさつや、お早が廓に出ていたことや、殺された兄弟の敵を探すために来る平岡、三原といった人物の関係が前の場面でわかるので、いつもよりもすんなりストーリーに入り込めたように思います。
井筒屋の場面の寿治郎や松之助ら脇役もいい味を出していました。
文七元結は菊五郎が相変わらず江戸っ子がとてもあっていて、楽しめました。
夜の部の熊谷。代役で初役とは思えない出来の松緑が一生懸命勤めていて非常によかったと思いました。
前半は力が入りすぎな感じもしましたが、後半からが良く、特に花道の引っ込みは、出家して無常や悟り、世のはかなさを感じさせるようなしみじみとした哀しみがにじみ出るというより、抑えきれない激しい哀しみを全身から放出しているように感じました。
23日から仁左衛門が復帰したということで、25日の千秋楽に見に行きました。いろいろと細かい型の違いなどに気づくことができて面白かったです。やはり声の大きさや動きなどは少し抑えめにしていたように感じましたが、さすがだと思いましたし、非常に感動的でした。
四千両は、思ったより面白かったです。ストーリー的にはそう面白くはないので、めったに上演されないというのはわかる気がしたのですが、何と言っても役者の雰囲気で見せる芝居だという感じがしました。
菊五郎がとにかくかっこよかったし、牢の様子も菊五郎劇団ならではの息のあった雰囲気で面白かったです。
昼の部
一、 双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
井筒屋
難波裏
引 窓
南与兵衛後に南方十次兵衛 梅玉
藤屋都後に女房お早 時 蔵
山崎屋与五郎 扇 雀
平岡丹平 権十郎
三原伝造 亀三郎
藤屋吾妻 梅 枝
母お幸 竹三郎
放駒長吉 翫 雀
濡髪長五郎 左團次
二、 人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
左官長兵衛 菊五郎
女房お兼 時 蔵
手代文七 菊之助
娘お久 右 近
酒屋丁稚三吉 藤間大河
角海老藤助 團 蔵
鳶頭伊兵衛 松 緑
和泉屋清兵衛 東 蔵
角海老女将お駒 魁 春
夜の部
一谷嫩軍記
一、 熊谷陣屋(くまがいじんや)
熊谷直実 松緑
白毫弥陀六 左團次
相模 魁 春
堤軍次 亀 寿
亀井六郎 松 也
片岡八郎 萬太郎
伊勢三郎 右 近
藤の方 秀太郎
源義経 梅 玉
中幕 汐汲(しおくみ)
蜑女苅藻 藤十郎
此兵衛 翫 雀
二、 四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より
牢内言渡しまで
野州無宿富蔵 菊五郎
女房おさよ 時 蔵
浅草無宿才次郎 松 緑
寺島無宿長太郎 菊之助
黒川隼人 松 江
頭 亀三郎
三番役 亀 寿
伊丹屋徳太郎 松 也
下谷無宿九郎蔵 萬太郎
田舎役者萬九郎 桂 三
穴の隠居 由次郎
数見役 権十郎
石出帯刀 秀 調
隅の隠居 家 橘
生馬の眼八 團 蔵
うどん屋六兵衛 東 蔵
浜田左内 彦三郎
牢名主 松島奥五郎 左團次
藤岡藤十郎 梅 玉