11/3・11・23 11月歌舞伎公演「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」第二部@国立劇場

仮名手本忠臣蔵の3ヶ月連続公演、11月は五、六、七段目。
普段やらない場が多かった10月と比べるとオーソドックスで、主役も菊五郎の勘平に吉右衛門の由良之助と当たり役。

最初の道行は菊之助錦之助のおかる勘平が美男美女でとてもきれいでした。
亀三郎は伴内のおかしみを出すにはかっこよすぎて伴内役者ではないなあと感じました。
余談ですが、パンフレットに詞章が全部載っているのはありがたかったです。

次いで五段目から六段目。菊五郎の勘平が若々しくて、やることが自然でさらさらしているようでいて、しっかりしているという円熟の芸。
松緑の定九郎は刹那的に生きる凄みがありました。

六段目もそれぞれ役者が揃って引き締まった舞台。特に團蔵の源六がまさに生世話で江戸から抜け出てきたよう。
歌六の原郷右衛門は初役だそうですが、重みがあり、非常に良かった。

七段目は、斧九太夫と伴内の入りから見せる丁寧な形。
見立ては11月3日は文化の日にちなんだ二重橋
種之助の力弥が思いの外、柔らかみがあって意外でした。
又五郎の平右衛門と雀右衛門のおかるは兄妹の仲の良さが伝わってきました。
吉右衛門の由良之助はさすがの貫禄、本当に由良之助がそこに実在しているかのような感じを受けました。
これを見て、次世代の由良之助役者って誰がいるかなあと考えてみましたが、芝翫染五郎松緑海老蔵あたりかなあとは思うものの、吉右衛門のような雰囲気を出すのは容易ではないだろうなと思いました。


平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)【第二部】 四幕五場
国立劇場美術係=美術


浄瑠璃 道行旅路の花聟 清元連中
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
      同   二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場

【道行旅路の花聟】
早野勘平      中村錦之助
鷺坂伴内      坂東亀三郎
腰元おかる     尾上菊之助

【五段目】
早野勘平      尾上菊五郎
千崎弥五郎     河原崎権十郎
斧定九郎      尾上松緑

【六段目】
早野勘平      尾上菊五郎
原郷右衛門     中村歌六
勘平女房おかる   尾上菊之助
千崎弥五郎     河原崎権十郎
判人源六      市川團蔵
与市兵衛女房おかや 中村東蔵
一文字屋お才    中村魁春

【七段目】
大星由良之助    中村吉右衛門
寺岡平右衛門    中村又五郎
赤垣源蔵      坂東亀三郎
矢間重太郎     坂東亀寿
竹森喜多八     中村隼人
鷺坂伴内      中村吉之丞
斧九太夫      嵐橘三郎
大星力弥      中村種之助
遊女おかる     中村雀右衛門
        ほか

http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2016/11200.html