ツイッターでの評判など見て、どうなるんだろうと不安になりながら観に行きました。
結果として、見終わって、もやもやの残る感じでした。
これまでのコクーン歌舞伎は、歌舞伎のベースがあって、その上にいかに串田演出を載せていくかというところに面白さがあったのだと思うのですが、今回は串田演出がベースにあって、その上で歌舞伎役者が奮闘しているといった趣を感じました。
冒頭の人混みに、大正時代風の女性や警官などが入り交じったり、途中でサラリーマンが横切るといった演出も、さほど目新しい感じをもたらさず、むしろ散漫な印象を受けました。
場割りとしては、上演機会の少ない三角屋敷と小仏小平住居の場を両方とも見れて、昨年の染五郎の国立劇場での四谷怪談と先月の前進座の四谷怪談と比べることができたのはよかったですが、その分、最後が中途半端な終わり方なのが残念でした。
それでも役者はよくやっていて、特に扇雀のお岩は髪梳きの場面がもの悲しさと恐ろしさを感じさせて良い出来だったし、獅童の非道ぶりもとてもよく合っていたと思います。
古典の四谷怪談で三角屋敷と小仏小平住居も入れて最後まできちんと見てみたいです。
四世鶴屋南北 作
串田和美 演出・美術
四谷怪談(よつやかいだん)
序 幕
浅草観音額堂の場
同・按摩宅悦内の場
浅草観音裏田圃の場
雑司ヶ谷四ッ谷町、伊右衛門浪宅の場
伊藤喜兵衛宅の場
元の伊右衛門浪宅の場
二幕目
砂村隠亡掘の場
深川三角屋敷の場
小仏小平住居の場
元の深川三角屋敷の場
夢の場
蛇山庵室の場
民谷伊右衛門 中村獅童
お袖 中村七之助
直助権兵衛 中村勘九郎
小仏小平 中村国生
お梅 中村鶴松
四谷左門 真那胡敬二
仏孫兵衛 大森博史
伊藤喜兵衛/お熊 笹野高史
小汐田又之丞 首藤康之
按摩宅悦 片岡亀蔵
お岩/佐藤与茂七 中村扇雀