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籠釣瓶花街酔醒幕見@歌舞伎座

チケット取ってあるのは今月後半なのですが、ツイッターや劇評などでの評判の良さに居ても立ってもいられず、昨日、幕見で菊之助吉右衛門の籠釣瓶を観てきました。


これが噂に違わぬ素晴らしい出来。凄いものを観たという感じがしました。


まず、菊之助の八ツ橋の花道での笑みで客席が息を呑む。菊之助の微笑みはスローモーションのようにゆったりと、それでいて自然で悠然としていて、吉原の大夫にふさわしく、次郎左衛門が見とれるのも無理は無いと思わせるものでした。


そして、圧巻なのが縁切りの場。歌舞伎座の客席全体が物音一つ立てずに、ピーンと張り詰めた空気の中、息を詰めて見ていました。まるで自分が八ツ橋と同じ座敷に座っていて、佐野さんにそんなこと言わなくてもいいじゃないかといたたまれない気持ちになっているような、また、客席からの目では八ツ橋の心中の苦しさが見えるようで、見ている側もギリギリと胸が痛み、緊張感を強いられる場面でした。座敷を出る時の、いやになりんしたという八ツ橋の言葉が、廓のしがらみに縛られた花魁の気持ちをしみじみと表していました。


対する吉右衛門がまた素晴らしい。吉原に慣れていない田舎者の素朴さ、八ツ橋を見て呆然とする様子がいかにもそれらしかった。あの場面、マンガならば、口からよだれがたれていたと思います。次の場で仲間二人を連れて吉原に来る場面ではうきうきとした雰囲気が後の悲劇を引き立てています。縁切りでの、袖なかろうぜのセリフは痛切極まりなく、殺し場での狂気をはらんだ目つきも凄いものでした。


この二人以外に周囲も充実。又五郎の治六は素朴で主人思いな一途さが良く、菊五郎はすっきりと男前、歌六魁春、歌女之丞、京蔵らが廓の雰囲気をよく出していました。次郎左衛門が愛想尽かしされると態度が急変する、橘三郎の絹商人が次郎左衛門を追い込んでいくようで、地味ながら非常によかった。


とても良かったのですが、見終わって、疲れました。


佐野次郎左衛門  吉右衛門
兵庫屋八ツ橋   菊之助
下男治六     又五郎
兵庫屋九重    梅枝
同  七越    新悟
同  初菊    米吉
遣手お辰     歌女之丞
絹商人丹兵衛   橘三郎
釣鐘権八     彌十郎
立花屋長兵衛   歌六
立花屋女房おきつ 魁春
繁山栄之丞    菊五郎