6月の観劇メモ
6月歌舞伎座は、蘭平と明月八幡祭が素晴らしかった。
松緑の立ち回りの激しさにこの演目と息子の襲名にかける熱い思いを感じて、こちらも涙が出ました。口上の菊五郎のあいさつも、とても温かく、左近くんの将来が楽しみです。
明月八幡祭は、吉右衛門の狂気がリアルで怖かったです。15年前に観たときはそれほど面白いと思わなかったのですが、今回は周囲の役者さんたちも、芝雀、錦之助、歌六もよくて後味の悪い話ながら、面白く観劇しました。
昼の部では幸四郎の大石最後の一日がなかなかよかったです。孝太郎のおみのがけなげでした。
国立劇場の歌舞伎鑑賞教室は、虎之介の「歌舞伎のみかた」が非常によかった。高校生からどよめきが起きる可愛い雰囲気と親しみやすくわかりやすい解説でした。解説で芝のぶと芝喜松の加賀見山の立ち回りが見れたのも面白かったです。
公演の演目は「ぢいさんばあさん」で高校生には地味すぎるのではないかと思ったけれど、ツイッターの感想など見ていると、感動したとか思ったよりわかりやすかったというものもあり、つまらない演目で寝てるよりいいのかなとも思いました。橋之助と扇雀は比較的さらりとした演じ方だったと思いますが、夫婦愛がよく出ていました。ほかでは亀三郎の下嶋がとてもよかった。
コクーン歌舞伎は、特に大川端と大詰の雪がとても美しく、印象に残りました。そして主演の勘九郎、七之助、松也の若い今ならではの吉三だったように思います。大川端の七之助と松也のセリフのやりとりが、いつもの歌舞伎の様式美とは違ってテンポが速く、リアリティがあり、それでいて聞いていて心地よい緊迫感のあるものでした。そこに止めに入る勘九郎がまた立派でかっこよかった。脇役では笈田ヨシさんが印象的でした。またおとせ十三郎の鶴松、新悟も若々しくよかったです。
歌舞伎座
昼の部
一、お国山三 春霞歌舞伎草紙(はるがすみかぶきぞうし)
出雲阿国 時 蔵
若衆 亀 寿
若衆 歌 昇
若衆 萬太郎
若衆 種之助
若衆 隼 人
女歌舞伎 尾上右近
女歌舞伎 米 吉
女歌舞伎 廣 松
名古屋山三 菊之助
源平布引滝
二、実盛物語(さねもりものがたり)
斎藤実盛 菊五郎
小万 菊之助
葵御前 梅 枝
矢走仁惣太 橘太郎
小よし 右之助
九郎助 家 橘
瀬尾十郎 左團次
元禄忠臣蔵
三、大石最後の一日(おおいしさいごのいちにち)
大石内蔵助 幸四郎
磯貝十郎左衛門 錦之助
おみの 孝太郎
細川内記 隼 人
赤埴源蔵 橘太郎
原田玄沢 松之助
吉田忠左衛門 錦 吾
堀部弥兵衛 桂 三
早水藤左衛門 由次郎
堀内伝右衛門 彌十郎
久永内記 友右衛門
荒木十左衛門 我 當
四、お祭り(おまつり)
鳶頭松吉 仁左衛門
若い者 千之助
夜の部
倭仮名在原系図
一、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)
三代目尾上左近 初舞台
劇中にて口上相勤め申し候
奴蘭平実は伴義雄 松 緑
女房おりく実は音人妻明石 時 蔵
水無瀬御前 菊之助
一子繁蔵 初舞台左 近
壬生与茂作実は大江音人 團 蔵
在原行平 菊五郎
二、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
太郎冠者 幸四郎
太刀持鈍太郎 彌十郎
次郎冠者 亀 寿
三郎吾 錦 吾
姫御寮 高麗蔵
大名某 左團次
三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)
縮屋新助 吉右衛門
芸者美代吉 芝 雀
船頭三次 錦之助
魚惣女房お竹 歌女之丞
藤岡慶十郎 又五郎
魚惣 歌 六
国立劇場
解説 歌舞伎のみかた 中村虎之介
森鷗外=作
宇野信夫=作・演出
ぢいさんばあさん 三幕
高根宏浩=美術
川瀬白秋=箏曲
第一幕 江戸番町美濃部伊織の屋敷
第二幕 京都鴨川口に近い料亭
第三幕 江戸番町美濃部伊織の屋敷
(出演)
中 村 扇 雀
坂 東 亀三郎
中 村 国 生
中 村 虎之介
中 村 児太郎
中 村 橋之助
渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾
三人吉三
さんにんきちさ
平成26年6月6日(金)〜28日(土)
◆演出・美術 串田 和 美
◆出演
和尚吉三 中村 勘九郎
お嬢吉三 中村 七之助
お坊吉三 尾上 松 也
十三郎 坂東 新 悟
おとせ 中村 鶴 松
海老名軍蔵/八百屋久兵衛 真那胡 敬二
太郎右衛門/長沼六郎 大森 博 史
堂守源次坊 笈田 ヨ シ
土左衛門伝吉 笹野 高 史
研師与九兵衛 片岡 亀 蔵