3/3 新橋演舞場 三月花形歌舞伎 昼の部

先週、新橋演舞場昼の部を観てきました。


演目は二つだけでしたが、両方とも松緑が活躍していてなかなかよかったです。


まず最初の鱶七は、ル・テアトル銀座玉三郎を相手にやったときより一回り大きくなったように感じました。特に後半、正体を現してからが立派でよかったです。前半のセリフがちょっと一本調子なところを直して、お酒を飲んでしまうところなどにもっと愛嬌が出ればさらによくなると思いました。
菊之助のお三輪は、前半はいかにも田舎の純真な娘、擬着の相を現わしてからは強い情念を見せました。花道で擬着の相になるときに、一瞬寺島しのぶに顔が似てるようにも見えました。
その他、亀三郎の求女が、合わないかと思っていましたが意外に柔らかい感じで思ったより良かったです。
團蔵の豆腐買いおむらは、あんまりおかしみを出す感じではなく、意外ときれいに感じました。でも、いつも悪役をやっているイメージなので、この人の女形を見ると、八汐とかに見えてしまいました。


二本目が暗闇の丑松。松緑が熱演していて非常によかった。不器用で熱くて情けないカッコ悪い男のかっこよさみたいなものが感じられました。
最初の場面で、二人を手にかけて階段を上がってきたところの、おびえたような狂ったようなすわった目が丑松の性格と未来を暗示しているようでよかったです。あとは、お米の死を知ったときのお米ーっとふりしぼる声が胸に響きました。
梅枝もとてもよくて、若い二人の必死さ、哀しさがよく現れていました。


周囲の役者も、萬次郎がいかにも意地悪い感じがうまく、権十郎もよかった。
板橋の場面の橘太郎がきびきびしていかにもそつのない商売人らしかったです。
高麗蔵と團蔵は悪人ぶりがぴったり。團蔵に手紙を持ってくる松太郎が渋い。
風呂屋の場面は、前回の橋之助のときも楽しく見ましたが、今回も面白かった。後半になって慣れてくるとさらに面白いんだろうなと思いました。


演目二本でも充実していましたが、三笠山御殿の前に道行があってもよかったんじゃないかなとは思いました。


昼の部


一、妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)

  三笠山御殿

                  お三輪  尾上菊之助
         漁師鱶七実は金輪五郎今国  尾上松緑
         烏帽子折求女実は藤原淡海  坂東亀三郎
                荒巻弥藤次  中村歌昇
                 宮越玄蕃  中村萬太郎
                入鹿妹橘姫  尾上右近
               豆腐買おむら  市川團蔵
                 蘇我入鹿  坂東彦三郎



二、暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)


                暗闇の丑松  尾上松緑
               丑松女房お米  中村梅枝
                岡っ引常松  坂東亀三郎
                料理人祐次  坂東亀寿
                   熊吉  中村歌昇
                  八五郎  中村萬太郎
                料理人作公  大谷廣太郎
                料理人伝公  大谷廣松
             四郎兵衛女房お今  市川高麗蔵
                潮止当四郎  河原崎権十郎
                   お熊  市村萬次郎
                 四郎兵衛  市川團蔵