1/5 前進座劇場ファイナル公演「三人吉三巴白浪」

前進座劇場のファイナル公演に行ってきました。
前進座に行ったのは二度目ですが、前回は落語だったので、歌舞伎を観るのは初めて。
花道左側の一番後ろの席でしたが、劇場自体が小さいのでよく見えました。


三人の吉三のニンがあっていて、バランスがとれていたのでとてもよかったです。
劇場が小さくて客席と舞台が近くて密なことや、上演中客席の明かりを少し暗くすることなどもあり、また、松竹の大歌舞伎と違って役者さんをあまり知らないので思い入れがあまりないのでストーリーに集中できたこと、役者のセリフがけっこうリアルな感じだったことなどがあいまって、三人吉三って暗い因果の話なんだなあと改めて感じました。松竹の三人吉三の通しは何回か観てますが、百両と庚申丸をめぐるストーリーがこんなにくっきりと浮かび上がってわかりやすかったのは初めての経験でした。


和尚の藤川矢之輔は兄貴分らしいどっしりとした雰囲気がありました。芳三郎はおっとりとした雰囲気がいかにも坊ちゃんらしく、花道に立った姿がとてもすっきりときれいでした。國太郎はちょっと写真で見た明治時代の歌舞伎役者のような古風な雰囲気があって、今までに見たお嬢とは違った感じを受けました。


土左衛門傳吉を演じた松浦豊和がいかにも若いときは悪かったというような手ごわい雰囲気を醸し出し、おとせと十三郎の関係に気づいたところでは因果に苦しむ暗さを感じさせました。
山崎辰三郎は前に観たときに女形でうまいなあと思った役者さんですが、八百屋久兵衛も渋い雰囲気を出していました。この人は松竹の歌舞伎の脇役にいてもおかしくない雰囲気。


改名した栄之丞の十三郎、臣弥のおとせ、宏太郎の源次坊も含め、役者さん達全体の息があっていてさすがだなあと感じました。


最後は藤川矢之輔が挨拶して、改名した三人の紹介と前進座NEXTの告知もして終わりました。
いい劇場なので、ここでもっと歌舞伎を見たかったです。


和尚吉三 藤川矢之輔(大阪屋)
お嬢吉三 河原崎國太郎(山崎屋)
お坊吉三 嵐芳三郎(豊島屋)
手代十三郎 亀井栄克改め 早瀬栄之丞(白鷺屋)
おとせ 竹下雅臣改め 忠村臣弥(入船屋)
研師与九郎/取手頭長沼 姉川新之輔(鯉屋)
金貸太郎右衛門/堂守源次坊 中嶋宏幸改め 中嶋宏太郎(福泉屋)
土左衛門傳吉 松浦豊和
釜屋武兵衛/夜鷹 婆ァおはぜ 松涛喜八郎(相生屋)
夜鷹 虎鰒おてふ 寺田昌樹
夜鷹 うで蛸おいぼ 上滝啓太郎
八百屋久兵衛 山崎辰三郎(山崎屋)