新橋演舞場夜の部を観ました。
吉右衛門の光秀が素晴らしかったです。
春永の屈辱に耐えに耐え、それが爆発するまでの気持ちの表現が丁寧で見事でした。
この演目、今まで何回か観ましたが、苦手で途中で寝てしまうことが多かったのですが、吉右衛門の緊迫感のある演技に今回はまったく眠くならず舞台に引き付けられました。
春永は、染五郎が見たかったので残念ですが、歌六の春永も非常によかった。短気な感じ、理不尽に光秀を虐める様子もよかった。
最後にちょっと出るだけの梅玉も舞台を引き締めていました。
道成寺は、中村芝翫を偲んでということで、福助が丁寧に踊っている感じがしてよかったです。
芝翫の一世一代の道成寺は観たのですが、まだ歌舞伎を見始めたばかりのころだったので、あまり覚えていないと思っていたのですが、鞨鼓のところでふと芝翫の姿を思い出しました。別に特に何かが似ていたからというわけではないのですが、忘れたと思っていても記憶のどこかに残っているから観劇というのは面白いものですね。
松緑の押し戻しが、せりふの中に、神谷町を偲ぶ草という言葉を入れていたのが故人への想いが感じられてよかったです。
一、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)
饗 応
本能寺馬盥
愛宕山連歌
武智光秀 吉右衛門
小田春永 歌 六
桔梗 芝 雀
山口玄蕃 錦之助
矢代條介 松 江
浅山多惣 由次郎
長尾弥太郎 桂 三
丹羽五郎 廣太郎
三村次郎 隼 人
住職日和上人 錦 吾
森力丸 種之助
森蘭丸 歌 昇
園生の局 高麗蔵
安田作兵衛 又五郎
皐月 魁 春
四王天但馬守 梅 玉
七世中村芝翫を偲んで
二、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
鐘供養より
押戻しまで
白拍子花子 福 助
所化 松 江
同 亀 寿
同 宗之助
後見 児太郎
大館左馬五郎 松 緑