夜の部最初の将軍江戸を去るは團十郎の慶喜が人物の大きさがよく出ていてとてもよかったです。
中車の山岡鉄太郎は将軍に尊王と勤皇について意見するところのセリフがやはり歌舞伎の雰囲気とは違うものの、逆にそれがかえって新鮮に聞こえました。山岡の必死さが伝わってくるのがよかったです。
口上は團十郎と海老蔵があたたかく、パリ公演の際の思い出などを語りました。團子の口上がうまくなっていたのに驚きました。
黒塚はすごいの一言。猿翁のを一度観たことがあるのですが、そのころはまだ歌舞伎を観はじめたばかりだったのでよく覚えていないのが悔やまれます。
月明かりの中で踊る軽やかでうれしそうな様子、そこから一転して鬼女の正体を現わす凄みが素晴らしかった。
鬼女の正体を現わしてからは花道でバッタリと倒れるところ、そこから舞台へ戻るところがとても迫力がありました。
楼門。最初に彌十郎らが出てくるいつもと違う演出。
猿翁は、石川やの後がやはりセリフがうまく言えずにはらはらしましたが、「巡礼にご報謝」の部分は力強かったです。
カーテンコールは海老蔵と握手、後見の中車が顔を出すといういつものパターンの後、2回目か3回目では團子くんも舞台上に出て、そのあと猿之助が花道から登場、楼門には出ていなかった出演者たちも出てきて、何回もカーテンコールがありました。本当に素晴らしいカーテンコールでした。
夜の部
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
徳川慶喜 團十郎
山岡鉄太郎 中 車
間宮金八郎 猿 弥
吉崎角之助 月乃助
天野八郎 右 近
高橋伊勢守 海老蔵
二、口上
亀治郎改め猿之助
中 車
初舞台團 子
市川団十郎
市川海老蔵
三、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)
老女岩手実は安達原鬼女 亀治郎改め猿之助
山伏大和坊 門之助
山伏讃岐坊 右 近
強力太郎吾 猿 弥
阿闍梨祐慶 團十郎