国立劇場 文楽 敵討襤褸錦

第二部
敵討襤褸錦(かたきうちつづれのにしき)


垣根をはさんで隣り合うふたつの家。
春藤家の三男・新七と、須藤六郎右衛門の妹・お霜は結婚間近の仲。
ところが、京都から長男・助太郎が帰ってきて父親が六郎右衛門に殺されたというからさあ大変。
両家は敵同士になってしまいます。
次男の次郎右衛門と新七は敵討ちに出ようとしますが、阿呆な長男・助太夫は足手まといになるから冥土へ行く父の共をしろと母が助太郎を刺し殺し、お霜は結婚ができなくなったために自害します。
歌舞伎とか文楽によくある悲運や不条理で人が死んでく話。


ふたりは旅に出て2年後、乞食に身をやつして敵を探しています。
そこに、刀の切れ味を試すために乞食を切ろうと宇田右衛門がやってきます。実は宇田右衛門は敵をかくまっていて、いっしょに来ていた武右衛門親子の助けで二人は最終的には敵討ちを成功させる、というお話。
実際に敵討ちが成功する場面までは見せないで、語られるだけなので、完全にすっきりというわけではないのが残念。


まだ文楽の人たちをよく知らないのだけど、人間国宝の竹本住太夫さんの声が重厚で渋くてすばらしかった。
あと、嶋太夫さんもよかった。いい声で語られてるのを聞いてると、話は暗いんだけども気分が盛り上がってくるのが文楽のいいところだなーと思いました。状況も感情もせりふも太夫が語ってくれるし、電光掲示板はあるし、はじめて観る話でも、歌舞伎で初めての話を見るときよりわかりやすい気がしました。


・春藤屋敷出立の段
 豊竹咲甫太夫 鶴澤清志郎
 豊竹嶋太夫  豊澤富助


・郡山八幡の段
 竹本千歳太夫 鶴澤清介


・大安寺堤の段
 竹本住太夫 野澤錦糸 
 豊竹咲甫太夫 竹澤宗助


春藤新七 豊松清十郎
お霜   吉田蓑二郎
春藤次郎右衛門 吉田玉女
春藤助太郎 吉田蓑助
加村宇田右衛門 吉田玉也
高市武右衛門 桐竹勘十郎