19日に国立劇場に文楽を観に行ってきました。
もともとは3部だけの予定だったのだけど、前日に見たら1部、2部のチケットがまだ残ってたので、
急遽買い足して、丸一日劇場にいました。
1部は不義密通、2部は敵討ち、3部は金に困っての殺人事件と、暗ーい話ばっかり。
少しは明るい話を入れてもよかったんじゃないかと思うのだけども。
一部:鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)
主人公の権三は将来を約束したお雪という女性がいますが、茶道の秘伝を教わりに行ったところ、
師匠の奥さんであるおさゐから、一子相伝の秘伝なので、娘のお菊と結婚したら教えると言われてOKしてしまします。
これが話がややこしくなる原因で、後でおさゐのところに教わりに行くと、別の女性と約束していたことが
ばれていて、口論になります。そこを、見ていた兄弟弟子の伴之丞がふたりが姦通だと濡れ衣を着せます。
江戸時代、姦通は大罪で、夫は姦通をした妻を討たなければいけなかったそうです。
おさゐは夫に武士の面目を立てさせるために討たれることを決意します。というお話。
権三は、二股かけたんだから自業自得じゃないかという気がしました。
おさゐも、実際の関係はなかったとはいえ、気持ち的には不倫に近い。お雪に嫉妬してるし、
ご主人の弟子と、夜に狭い部屋で二人で会ってりゃ、弁解しづらいでしょう。
障子に二人の影が映るという演出になってるんだけど、色っぽいというか妖しい感じが出てました。
おさゐが37歳、だんなさんの市之進が49歳、権三が25歳、娘のお菊が13歳とちょうど
ひとまわりずつ離れてるという微妙な年齢設定も近松のうまさを感じます。
最後、権三とおさゐは、討たれるのだけど、その場面が祭りのお囃子が流れるなかで、太夫5人、
三味線5人と華やか。おかげで、ストーリーは納得いかないんだけど、そんなに暗い気持ちにならずに、
わりとすっきり見終わることができました。
・浜の宮馬場の段
豊竹松香太夫 鶴澤清友
・浅香市之進留守宅の段
竹本津駒太夫 鶴澤寛治 琴 鶴澤清公
・数奇屋の段
竹本綱太夫 鶴澤清二郎
・岩木忠太兵衛屋敷の段
豊竹英太夫 竹澤団七
・伏見京橋妻敵討の段
おさゐ 豊竹呂勢太夫
権三 豊竹咲甫太夫
市之進 豊竹つばさ太夫
甚平 豊竹芳穂太夫
ツレ 豊竹希太夫
竹澤宗助
鶴澤清き
鶴澤清丈
豊澤龍爾
鶴澤寛太郎
権三 吉田和生
おさゐ 吉田文雀